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第五章 真実の告白
年月が流れ、私は八歳になった。
セリーナはもう『悪役令嬢』と呼ばれていない。
彼女は慈善事業に参加し、孤児院を支援し、魔法学院でも優秀な成績を収めていた。
だが、父である公爵は依然として冷たい。
「お前は王太子との婚約を果たすための存在だ。感情など捨てるがよい」
ある日、セリーナは部屋で泣いていた。
私はその扉を開ける。
「お姉様……僕、全部知ってるんだ」
彼女が泣き顔を上げた。
私はセリーナに前世の事を話した。
悪役令嬢セリーナは最後に追放されて、凍える山で死ぬ……と。
セリーナはその話に息を吞んだ。
「……嘘でしょう?」
「本当だよ。でも、もう大丈夫。僕が居る。僕がお姉様の運命を変える」
「どうして……どうして、貴方がそこまでしてくれるの?」
「だって僕は──お姉様の弟だから」
私の目からも涙が零れる。
彼女は私を強く抱きしめた。
「エドワード……ありがとう。貴方が私の家族で良かったわ……」