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第四章 運命の舞踏会
季節は変わり、王宮の舞踏会の日が来た。
ゲームではここでセリーナが王太子の杯に毒を混入し、追放される。
だが実際は侍女が裏切って杯をすり替えたのが真相。
私はその侍女が誰かを知っていた。
──ロザリー。
母の侍女だったが母の死後に屋敷を去り、再び雇われたのは、実は敵対貴族の工作によるもの。
舞踏会当日、私はロザリーが厨房に入るのを見計らった。
彼女の足元にわざと転がる。
「あっ! ごめんなさい!」
「エドワード様!? 大丈夫ですか?」
「足が……ちょっと痛い」
「直ぐに医務室まで……」
「良いの。お姉様が心配するから」
私は立ち上がり、彼女の手を離した。
その隙に別の侍女が厨房に入り、杯の監視を強化。
ロザリーは機会を失った。
そして、セリーナは王太子にダンスを申し込まれる。
驚きながらも微笑んでその手を取っていた。
その夜、彼女は初めて『自分も愛される資格がある』と思えたようだった。