【第30話】ドラゴンの城の前で再会
津波の港町を救った匠。
各都市の仲間たちが再び動き始め、建築ネットワークが広がる。
そしてついに、もう一人の“現場監督”と異世界で再会の時――
「この先に……ドラゴンの城がある」
山岳地帯の高台に、黒くそびえるシルエットが見えた。
その姿は圧倒的で、まるで山そのものが意志を持ったかのように空を睨んでいた。
麓の斜面には、仮設通路と資材置き場が点在する。
現場の整備がされている――それも、匠が知る“正しい施工”の痕跡が。
「ここまで道を切り拓いた奴がいる……もしかして――」
すると、崖下から声がした。
「おい、そこ動くな! この仮設橋はまだ……って、え?」
振り返ると、そこにいたのは、現実世界でともに現場を歩いた後輩――藤村 修也。
「……神原、さん?」
「藤村……! 無事だったのか!」
二人はしばらく、言葉を失って見つめ合った。
「まさか、あんたまでこっちに来てたとは……」
「こっちのセリフだよ。……お前が、ここまで施工したのか?」
「ああ。俺がやった。あんたがいないから、俺が“ゲンバカントク”になった」
その言葉に、匠は静かに笑った。
(そうか……ちゃんと、成長してたんだな)
かつての現場――
鉄骨建方の最中に焦って間違えた藤村を、匠が叱りながらも守った日のことを思い出す。
『安全第一だ。順番守って、段取り通りにやれば、必ず現場は進む』
『はい……現場監督って、かっこいいですね』
あの日の目が、今の藤村にも残っていた。
「でも……この先にいる。ドラゴンが」
藤村の目が険しくなる。
「何度も仲間が襲われた。あいつは災害でも魔物でもない。
“狙って壊す”知性を持ってる。――人の言葉も、通じるかもしれない」
「……なら、対話か、それとも施工かだな」
匠はそう言って、荷車のシートを外した。
そこにあったのは、巨大なクローラークレーンのコンポーネント。
「お前の現場に、俺も加えろ。二人のゲンバカントクで、城に道を拓く」
「……あんたが来てくれて、心強いです」
空が赤く染まり、遠くでドラゴンの咆哮が響いた。
次回予告
ドラゴン城の城壁崩壊を食い止めろ!
二人の現場監督が描く“攻防一体の仮設構造”とは――?
建築コラム
【仮設通路】
現場への搬入や移動のために設けられる道。地盤や傾斜に応じた設計が求められる。
【クローラークレーン】
不整地でも走行可能な大型クレーン。重機搬入や高所施工に強みがある。
【重機運搬と分割搬入】
山岳地のような狭小現場では、大型機材をパーツ単位で搬入し、現地組立が行われる。
ついに後輩・藤村と感動の再会です。
建築系異世界で“二人の現場監督”が揃った今、物語は後半戦へ!
次回はドラゴン城を舞台に、仮設防衛工事と攻防の始まりです!
登場予定:足場組み、崩落対策、進入口確保、戦闘補助構造 など!




