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【第2話】最初の現場、崩れかけの家

異世界に転移したゼネコン現場監督・神原匠。

職業【ゲンバカントク】としてのスキルに目覚め、見知らぬ森の中で目覚めた彼は、

手持ちの工具と覚悟を胸に“最初の現場”を探し始める――。


乾いた土道を歩き、森を抜けた匠の目の前に現れたのは、木造の家々が点在する小さな村だった。

舗装もない。電線もない。煙突の煙だけが、生活の気配を物語っている。


「……おーい、誰かいませんかーっ!」


声を張り上げると、村の奥から慌ただしく人が走ってきた。


「おい、誰か来たぞ! 旅人か!?」


「すまんが、うちの家が傾きそうなんだ! 誰か手伝ってくれ!」


駆け寄ってきたのは、白髪の老人と数人の若者。

その背後には、今にも崩れそうな家が見えた。屋根は片方に沈み、柱は傾き、壁板は外れかかっている。


「建物、見ていいですか? 多少わかります」


「ほんとか! 助かる!」


匠は工具袋から差し金とスケールを取り出し、すぐさま建物を測り始めた。


「うわ……長さを測ってる!? その紐みたいなのは、何だ!?」


「スケール。距離を測る道具です。」

(この世界には長さをはかるものがないのか、、、。)


驚く村人を尻目に、匠は次々と測定を進めた。

地盤が一部沈下している。梁のようなところの接合部がズレ、屋根が片側に傾いている状態。


(……これは、放っておくとマジで崩れるな)


「この家、右に40ミリ傾いてます。支えないと危ないですよ」


「40ミリ……? それは、なんの呪文なんだ……?」


単位も測量も存在しない世界。

現代の常識は、この世界ではすべて“魔法のような技術”だった。


「仮に支えるだけでもいい。単管とジャッキを使えば、少しは持つはずだ」


匠はアイテムボックスを起動し、インパクトドライバー、単管パイプ、クランプを取り出す。


「……箱から物が出た!?」


村人のどよめきを背に、匠は淡々と作業を始めた。


まず、沈下していた柱の足元にジャッキをかませ、高さを微調整。

次に、単管で簡易の筋交いを作り、建物の揺れを抑える。


「うおっ……屋根が、戻っていく……!」


「こんな手で支えるなんて、初めて見た……!」


感嘆する村人たち。


匠は何も答えず、最後に水平器で家の傾きを確認し、うなずいた。


「これで、しばらくは安心できます。ちゃんと直すには、材も日数も要りますけど」


「ありがてぇ……名前を聞いてもいいかい?」


「神原匠。職業は……ゲンバカントクです」


「ゲンバカントク,,,?聞いたことないな」


その言葉の意味は、この世界では誰も理解する人はまだだれもいない。


だが、確かに村人の目は、匠を“すごい職人”として見始めていた。


▶次回予告

村を襲う魔物に、匠が“工事技術”で立ち向かう!?

武器も魔法も持たず、資材と知恵で仕掛ける“建築トラップ”!

現場監督の戦い方が、いま異世界で光る!


建築コラム

・スケール

建築現場で使われる「巻尺」。寸法取りの基本であり、これがないと現場は始まらない。


・単管パイプとクランプ

仮設構造や足場を組むときに使う鉄パイプ。クランプで接合すれば、自由に支えを作れる。


水平器レベル

建物や部材が“水平”かどうかを確認する工具。水泡の位置で微妙な傾きも見抜ける。



ここまで読んでくださり、ありがとうございます!

まず異世界で初めてか問題を解決した匠

次の話は初めての魔物が出るが、匠は対処できるのか。

次回異世界らしさが全開する。



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