第1話 プロローグ
俺の名前は神宮寺 健。ブラック企業に勤めている、25歳。
毎日、仕事が終わったと思ったら、上司から仕事をどんどん押し付けられて、家に帰るのは翌日の1時とかになる。
いつからこんな人生になったんだろう。
小学生のころ、俺は「ヒーロー」に憧れていた。
子供っぽい夢だという人が多かった。
けど、俺が言ってる「ヒーロー」とは、英雄のことで、たくさんの人のためになる行動をし、感謝され、注目される。別の言葉で言うと「英雄」といったところだろう。
しかし、現実はそう甘くなかった。
どんなに善い行いをしても、人から感謝されることはなかった。
それどころか、俺の友達はどんどん離れていった。
俺がやっているのは、もしかして、善い行いではないのだろうか。
そう思うようになってから、俺はヒーローになりたくてもなれなかった。
ずっと、ずーっと、何かに怯えていた。
今でもそうだ。
ずっと善い行いができないでいる。
ずっとヒーローになれないでいる。
いつのまにか、俺はブラック企業に勤めていた。
上司からはこき使われ、家族からも嫌われ、友達はいない、恋人もいない。
俺が今していることは、果たして誰かのためになっているのだろうか。
俺は社会から必要とされない存在。
俺なんか何も役に立たない。
俺は邪魔。
「もういっそのこと、死にたい」
「今日は、久しぶりに休暇をとれた。ゆっくりと過ごすか~」
今日は何をしようか、どこに行こうかと考えながら、歩いていたら、目の前を6歳くらいの女の子が一瞬で通った。
どうやら、ボールが道路に出てしまったらしい。
しかし、僕の目に映った光景は想像とは全然違った。
道路に出てしまったボール、ボールを追いかける女の子、そして道路を走っているトラック。
「危ない!!」
俺は反射的に道路に出て、女の子の背中を押した。
ガン!!
俺は空高く舞い上がった。
景色がどんどん見えなくなってくる。
「あぁ…、俺は死ぬのか…」
耳からは心配する人たちの声が聞こえる。
俺は、ゆっくりと目を閉じた。
俺はヒーローになれたかな…
「んっ、どこだここは。天国か?」
目を覚ましたら、そこは森の中だった。
俺の頭は混乱していた。
まさか、転生したのか?
「俺、もしかして、異世界に転生した?」




