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相手校のイケメンエースは頭のねじが緩そうだ。

「で、結局二人の関係は如何ほどなんだよ?」


 及川は、しばらくふざけた後、そんなことを言ってきた。


「あんたになんでそんなこと教えないといけないんだよ」


「そりゃあ、彼女可愛いから」


「支離滅裂って言葉、知ってます?」


「知らない。というか、本当にお前は生意気だな。いいからさっさと教えろよ」


 及川は少しだけ苛立ったように目を細めていた。


「俺達の関係って、そりゃあ……」


「ちょ、ちょっと待った」


 言いかけた俺の口を塞いだのは、速水だった。

 一体どうしたというのだろう。


「おー、大胆」


「ち、違いますから」


 とりあえず、二人で盛り上がるのは止めてくれ。


「あたし達の関係は、ただのクラスメイトです」


「へー、君もスポーツ科?」


「君もって、俺はスポーツ科じゃないですよ?」


「え、そうなの? そっちの野球部、普通科の奴でも入れるんだ」


 俺はかつて、ウチの監督に向かって啖呵を切ったことを思い出していた。


「っていうか、ただのクラスメイトじゃないでしょ」


「どうして?」


「いやだって、明らかに距離が近いじゃん」


「そう見えます? そう見えるなら、普通のクラスメイトではないのかもしれないですね」


「え……」


 速水が慌てて俺を見ていた。どこか頬が紅く見えた。


「とりあえずトイレ行きたいので、もういいですか?」


 だが、続けた俺の台詞に、速水は露骨に腹を立てた顔をしだした。

 いやなんでだよ。


 このやり取り、完全に不毛だろ。もういいよ。


 睨み合う俺達を見て、及川は呆れたようにため息を吐いていた。いや、元はといえばお前が速水をナンパするからこんなことになったというのに、なんでこいつは今、こんな態度を見せているのだろう。


「まあ、わかった。なんとなくだけど、なんとなく大体わかった」


「それ、本当にわかってるのかよ」


「ああ。まあ俺は武田君と違って、デリカシーがあるから、何も言わないけどね。一先ず今日は引いてやるよ」


「なんでそんな上から目線?」


「さすがにあたしも、ちょっとそれは引きます」


 珍しく速水と意見があった。


「う、うるさいな! へっ、俺に恥を掻かせた罰だ。今日は一切合切手加減しないからな」


「いや、手加減したら怒りますよ」


「……そういえば、君はそういう奴だったな。わかった。じゃあそれで行こう。君に投げる時は、ひと際全力で投げてやる」


「そうこなくっちゃ面白くない」


 及川に微笑み伝えると、彼は面白くなさそうに鼻を鳴らしていた。


「じゃあ、また後で」


 スパイクのカツカツという足音を鳴らしながら、及川は去っていった。


 ……というか。


 今の去り方を見るに、あの男本当に速水をナンパしていただけだったんだな。

 試合前の大切なこの時間に、あいつ一体何やってるんだか。

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