表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/107

対策? 諦め?

 偵察係が撮ってきてくれた俯瞰からの及川のピッチングを見ながら、俺は一人悩んでいた。


「哲郎、ご飯の時はテレビ消そうよ」


「えっ、あ。ごめん」


 速水に注意されて、俺はテレビを消した。日頃速水の億劫そうな姿はよく見るが、彼女はご飯時だけはマナーにうるさかった。


 ……もう少し他の部分にもやる気出したほうがいいんじゃない?


「今の決勝の相手だよね。この前の練習試合でも投げてた人」


「そうそう」


「結構、顔格好いいんだね。遠くからじゃわからなかったけど」


 突然変なことを言い出した速水に、俺は目を丸めた。


「へぇ、ああいうのがタイプなの?」


「いや、そういうわけじゃないよ。ただあの人がプロになったら、背も高くてスタイルもいいし、そこかしこの女性が黙ってないだろうなって思っただけ」


「アハハ。そうかもしれないな」


 なんだか変な気分を抱いたものの、俺は一先ず笑い飛ばした。


「で、打てそうなの? その人を」


「びみょい」


「えー」


 速水は唇を尖らせていた。


「……あんた、この前の練習試合ではヒット打ってたじゃない」


「ありゃあストレートに絞り込んでたから打てたんだよ。左の速球派で変化球まで織り交ぜられたら、そう簡単に打てるもんじゃない」


「へー、右ピッチャーとはまた違うの」


「全然違う。逆手から投げられることで、回転もリリースポイントの見え方もいつもと勝手が全然変わるからな。結構大変なんだ」


「ふーん。……おかわりいる?」


「欲しいです」


 俺は速水にお椀を渡した。


 速水は微笑みながら、ご飯をよそいに立ち上がってくれた。


「打つ手段はないの?」


「そう思ってビデオをずっと見てるんだけどなー。全然わからん。チェンジアップ投げる時、癖でもあれば絞り込めて楽なんだけどな」


「じゃあ、打つ手なし?」


「そうもいかないだろ。俺、甲子園行きたいし」


「素直だなー」


 速水は笑った。足音が近づいてくる。


「はい」


 お椀を手渡された。


「ありがとう」


 俺はそれを受け取った。


「……まあ、打つ手はないわけじゃない」


「そうなの?」


「ああ、まずもっての話だけど、次の決勝では相手が好投手故にロースコア戦に持ち込むことは絶対条件だ」


「今日と一緒だね」


「そう。で、好投手相手には、何よりも長打狙いをすること。これに限る。ヒット繋げようって考えても、中々そうも上手くいかないものだからな。一発で一点。その一点を守り切る。そんな野球出来たら理想だ」


「ほー」


「そのためにも、まずは狙い球をキチンと考えて絞らにゃならん」


「うん」


「で、及川の持ち球を考えてみたが、どれもレベルはやはり高くて辛いところがあるが、一番狙うならほぼ消去法でストレートだと思ってる。投球割合、ほぼストレートかチェンジアップってのもあるしな」


「じゃあストレートかチェンジアップを見極めて打てばいいわけだね」


「そんな簡単ではないけど、つまりそういうことだな。じゃあどうすればストレートを打てるか。つまるところ、チェンジアップに空振りしないでストレートだけを振れるか、だ」


「へー、癖ないって言ってたのに、ストレートを打つ手段、あるんだ」


「まあな。目をつけたのは、あいつのチェンジアップのコントロールの良さだ。あいつのチェンジアップ、空振りを取るために低めのストライクゾーンからボールになるように変化していっているんだよ」


「うん」


「だから俺はさ……。



 低め、捨てようと思う」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ