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プロローグ1 千川原美夜の場合
「遅刻遅刻〜!」
アタシの名前は、千川原美夜!今日からこの神ヶ丘町に引っ越して来た中学二年生!ご覧の通り、絶賛遅刻中!朝起きたら、なぜか目覚ましが粉々になってたのよね。これで何回めだろ?
…と、とにかく!転校初日の今日こそ、連続遅刻記録更新を止めるのだぁ!ママが焼いてくれたトーストをくわえて、アタシはお家を飛び出したの!新しい学校に馴染めるかちょっと心配だけど、なんだか今日は素敵な事が起こる予感がするんだ!
そこの角を曲がれば、学校は目の前。転校初日の遅刻は避けられそう。
…って思ってたんだけど。
「キャッ!」
突然目の前が真っ白になり、アタシはひっくり返っちゃった。曲がり角を曲がった瞬間、誰かにぶつかってしまったみたい。
「イタタ…ちょっとぉ!気をつけなさいよ〜…って、あれ?」
誰もいない。さっき確かに誰かがここから飛び出してきたと思ったのに。変なの…
「って、ヤバイ〜!遅刻遅刻〜!!」
モヤモヤとした疑問を振り払いながら、アタシは走り出した。
連続遅刻記録は、まだまだ止まりそうにない。