夕暮れと校舎
枯れ尽き 錆びた 夕暮れの 校舎
草木の香りに 鉄のにおいが 交じる
風
椅子の墳墓 机の卒塔婆
草生す中庭 蔦の壁
赤錆びた時計は 夕陽におもねり
ますます 赤く
足跡は追憶の霞に隠れ
下駄箱は虚しく
玄関口に停まるは
埃
跳ねる声を追い 赤白に華やぐ
轍を咥えた 土の広間は
草が群れなす 野辺の
影
役を終え 時に溶け
夕暮れに沈む 無人の校舎
染み込み 滲む 陽光に
形の意味が 剥がされ 消える
終には
木と 石と 硝子と 鉄と
草と 埃と 錆の
匣
組まれて佇む 世の棄物
総てを包み 覆う
夜




