九十話 分裂
機能を失った伊勢内部。
ブルーケは息を切らし、その場で膝をつく。
「ここまで……くれば……だいじょう……ぶ」
人をふたり抱えて走ったのだから当然だ。
「アバート……もう走れる?」
「うん。大丈夫……でもこれからどうするの?」
屈伸をして身体の動きを確認したアバートは異常が無い事を確かめてからこれからを訊ねる。
「もう戻っても仕方がないよ。戻ろう」
腹部の傷の応急処置を行ったモートレの提案は諦めに近いものだった。
那須暁啓の復活は少女達にとって良いものであるにも関わらず、事態は好転しなかった。
ヒェトラの言動にも不明点が多く残る現状。
傷の痛み。
情報の処理がままならない。
「そうだね。ヒェトラのことよりも、先に私達が生きて帰ることを最優先にするべきだね……アバート、担いで走れる?」
「任せて」
提案に首を縦に振ったふたりはモートレの傷を確認して装備の分担を始める。
「まだ走れ……いや、お願い」
立ち上がることを途中で止め、アバートの手を取った。
もう無理をすることは無い。
「帰ろう――」
私達は負けたんだ。
「――みんなのいる村へ」
◇
「ふぅ……」
一息。
火垂火を解除したヒェトラは身体を伸ばしながら目の前の光景を眺める。
これだけの被害を出した火垂火の性能への関心。
それでも仕留めきれないアバートという脅威への畏怖。
『逃げられたな』
大和は伊勢の完全制圧が完了したことを確認した後、ヒェトラに言葉を投げた。
「ブルーケの対策は一筋縄では行かない。今回は諦める他無い」
溜め息。
『アキヒロ、ヒェトラ、村に向かわなくても良いのか?』
「いや」
『?』
少女達の所在は明確なのだから責めるべき。と考えた大和だったがその思考は否定された。
暁啓は伊勢に残っていたデータを纏め終え、転送の準備に入る。
『私達にはやるべきことがある……行こうか――』
未来を見据えて。
『――救済する為に』
こんにちは、
下野枯葉です。
お久しぶりです。
本当にお久しぶりです。
成すべきことを成し終えた私です。
いやー。
疲れた。
これで集中できるはずです……多分。
さて、
分裂です。
キッカケは些細な事であるのかもしれません。
仲違い。意見や思想の食い違い。見据えた先の違い。
なんでも構いませんが、一つのグループが分かれるとしたら
それはきっと先に進むために必要なファクターの一つだと思います。
良くとも悪くとも……出会いがあれば別れがあって。
そうして成長していくのだと思います。
少女達も成長するんだと思います。
してほしい。
さて、
今回はこの辺で。
最後に、
金髪幼女は最強です。




