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CRIMINAL=9  作者: 下野枯葉
2章 春雪と悪魔
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八話 絶望の味

 デッディが地図情報をもとに冷静に動きを考えていた。

「3……5、6。よし」

 次の目標の人数を把握。三人を静かに倒した後に次ブロックの三人、計六人。

 行動のイメージを想像し、二度頷く。

 呼吸を一つで整え、駆け出す。

 いつも通りファマスの銃撃で二人を撃ち抜き、残りを銃剣で一突きにする。

「ガキ……だと? 舐めてると死ぬ……ぞ」

 胸に刺さる銃を強く握り、抜こうとする兵士が膝をつきながら声を漏らす。

「うるせぇ、あと何回刺せば逝ってくれるの?」

 引き抜くことを一切許さないデッディは、更に押し込み笑みを浮かべた。

 快感を貪る笑みである。

「はは……もう死ぬさ。俺も、お前も」

「減らねぇ口だな」

「対策ぐらいしてる……ってハナシだ。来る、ぜ? 最強の――」

 ここで兵士は事切れた。

 屍を蹴り飛ばし、銃剣を抜いたデッディは表情をきつく結んだ。

 最強?

 来る?


「……シーナ?」


 胸騒ぎがしたが、自分の仕事に集中するべきと心を落ち着かせ次の敵へ。

「さぁ、次の角を曲がって――」

 走り出し、己を鼓舞する為に言葉を紡ごうとした刹那。

 何かが横を通り過ぎた。

 防御態勢に入るより先に、視界に何かが入った。

 何かとは血に濡れたアバートだった。

「マジ、かぁ」

 嫌な顔を浮かべたデッディは身の危険を感じ、曲がり角を飛び出すことなく立ち止まった。

 角の先から銃弾と叫び声が飛び、数秒後に静寂が訪れる。

 アバートによる殲滅が行われ、形を保っていない屍が三つ。

 理解不能の言語を叫び再び先へ。

「あーあ……この先、もう行けないじゃん」

 溜め息を一つ。

 再び地図情報を確認して、ルートを確認し始めたデッディに声が届く。

『デッディとモートレは後退を始めろ。メインコンソールの場所が分かった。アバートと私が破壊。その後すぐに撤収だ』

 ヒェトラから全員への連絡。

 作戦が最終段階に達したことを報告し、その後の行動を指示。

「了解」

『了解』

 デッディとほぼ同時にモートレも答える。

『シーナは道を作っておけ』

 屋外で狙撃を行っているシーナに冷静に一つ。


『――』


『シーナ?』

 いつもなら気怠そうな返事があるはずだったが沈黙が続く。

 明らかに狼狽するヒェトラの声が全員の耳に届いた。

「ヒェトラ、シーナから応答がないぞ」

『…………作戦を続行する。屋外は脅威が残っている可能性が大きい。各々、警戒するように』

 珍しく声が大きく震えていた。

 シーナが倒されたかもしれないという事実が全員に衝撃を与えた。

 しかし、ヒェトラは何とかして平静を維持しようとする。

「……了解」

 デッディは苦しい表情を浮かべつつ、命令に従った。




 屋外では歩兵もシステムも何もかもが正常からかけ離れた状態になっていた。

 シーナは照明をできる限り破壊し、本州からかかる橋に警戒を移し始めている。

 追加戦力投入への警戒だ。

「わー……本当に来たよ」

 装甲車両を先頭に十数台の車両が二列で島に投入されようとしていた。

 橋の中央を少し過ぎたところでシーナは装甲車両を撃ち抜いた。

 精密な射撃でウィークポイントが撃ち抜かれ、燃料に引火。爆発を起こし後に続いていた車両数台に誘爆した。

 すぐさま最後尾の車両も同様に撃ち抜く。

「橋を落とした方が早いけど――」

 黒煙が立ち上り、炎の灯りが辺りを照らす。

 負傷兵を引きずり乍ら絶望を噛み締める兵士たちが呆然と空を仰ぐ。

「――残酷さは士気を下げるのに効果的だからね」

 フードを深くかぶり、目を伏せたシーナは作戦遂行への強い意志を宿して狙撃位置を変える為動き始めた。

「…………せめて兵士として逝ってくれれば」

 変電所や電柱の隙間を縫うように跳び、倉庫の上に降りる。

 炎上する橋を別の角度から再び狙おうとする。

 バイポットを広げゆっくりとスコープを覗く。

 黒煙の隙間から光が見えた。

 刹那、再び閃光。

 ――発砲だ。

 記憶の奥底で顔が弾ける感覚が蘇る。

「嗚呼……今際の際にはまだ早い」

 シーナの意思ではない声がシーナの口から紡がれ、頭を左に振った。

 同時にスコープが弾け飛び、衝撃で吹き飛ばされる。

 頭を打ち意識が朦朧とする。


 チョーカーからヒェトラの声が聞こえた気がした。


 ――あぁ……ヒェトラ、少し待って。

 ――すぐ、へん……じする、から。




 雪が降り始める。


こんにちは、

下野枯葉です。


えぇ。

久しぶりです。

正直に言うとパルデアへ行っていました。

今も連コンを使ってパルデアニ存在しています。


さて、

今回は『絶望の味』です。

さて、どんな味だったでしょうか。

とても苦手なはずだったのですが再び味わってみたくなりました。

後悔の味も思い出すはずです。


今回の話では誰が絶望したのでしょうか。

その味を知ってるのは誰なんでしょうか。

九人がよく知っているのは事実です。

でもシーナだけは味わってないのかもしれませんね。


では、

今回はこの辺で。





最後に、

金髪幼女は最強です。

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