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CRIMINAL=9  作者: 下野枯葉
表裏を持った瘋癲
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七十九話 抱擁

 絶え間なく襲い掛かるロボット達。

 それに対して囲まれることを避けたヒェトラ達は移動主体の作戦に切り替えていた。

 痛みという概念が存在しないロボット達に対して脚部の関節や駆動系の隙間を狙う。

 全て倒す必要は無い。

 目的は伊勢を破壊する事。

 眼前の有象無象など動こうが壊れようがどうでもいい。

 アバートが構える盾を先頭に突き進む四人は搬入口から内部へ。

「巣の中だ。油断するなよ」

「「了解」」

 モートレ、ブルーケの応答を確認した後、外部からの情報が入らないことをヒェトラは認めた。

 さながら迷宮。

 ここからは都度マッピングしながら進む他無く、それに長けたモートレが移動指揮を行う。


 その様子を眺めるのは伊勢。

 内側に入ったのならば監視も誘導も容易になる。

 侵入したのは四人。

 伊勢のある建物の東、主要道路に一番近い搬入口が敵の現在地。

 そこから本館までの最短ルートを計算し、他の道を隔壁で閉ざした。

 自分の元に子供達が迷わず辿り着けるように。

「早く来てくれ……アキヒロが待っている」

 そう呟いて時を待つ。




 狭い通路を走り続ける三人は前方にのみ注意を払う。

 後方からの敵に関してはアバートが都度対処する。

 モートレとブルーケはその状況に少しの恐怖を感じていた。

 アバートが自分自身を制御して行動をしている。

 敵と味方の区別がついている。

 しかし言語機能に問題があり、瞳が合わない。

 狂戦士の本質がチラつく現状……信じる他ない。

 

 一本道を進む。

 モートレは違和感を一つ。

「おかしい」

 短い呟きにヒェトラは笑う。

「最短距離を案内されているんだろうな。どこまでも舐めてるな」

 理由を知ったモートレは進行を止めずに同じように笑った。

 ここまで来たのなら戻ることはない。

 それに、作戦もある。


 ロボット達との相手にも飽き始めた頃。

 四人は伊勢の中心に辿り着いた。

「会いに来たぞ、伊勢」

 広大な空間。

 その中央に少女がひとり。

「待っていたよ。待ちすぎて疲れたよ」

 両肩から蹄を持った脚を翼の様に生やし、山羊の角を持ったロボット……伊勢だ。

「……醜いな」

「お前の感性などどうでもいい。早くアキヒロに会わせてくれ」

 ヒェトラはその姿に侮蔑の一言を告げたが伊勢には届かない。

 あまりに広すぎる空間で戦い方を模索しながら会話で時間を稼ぐ。

 一方の伊勢は子供達の身体を捕まえる準備をし始めた。

 それは前方と後方からの挟撃。

 それも大量のロボットによるものだ。

「その残弾で足りるか?」

 物量による攻撃はある程度予想していたが……多すぎる。

「アバート!」

 ヒェトラの叫びに応じたアバートは背負っていたもう一枚の盾を放り投げた。

 これにより四人の先頭と最後尾に盾が配置される――

 ――と同時にグレネード。

 前方と後方の衝撃を抑え込み爆発の煙に紛れる。

「見事……だが甘い」

 伊勢はほんの僅かに驚いたものの追加のロボットをもう一度ぶつける。

 しかし、前方のロボットの動きが止まった。

「ん?」

 驚きと同時に違和感。

「舐めんな」

 ヒェトラが右目を大きく開く。

 ロボットのカメラがそれを捉えた以上、動きは封じられた。

 その隙にモートレが突っ込み、その全てを薙ぎ倒し始めた。

 一方の後方ではアバートが動かずに静観するのみ。

 いつの間にかロボットの背後に移動したブルーケが蹂躙を始めた。

「……おいで」

 ヒェトラとモートレが伊勢を攻撃しようとした刹那――

 ――部屋が動き始めた。



「抱いてあげるよ」



 伊勢を中心に数メートルの範囲に壁と天井が組み立てられ、地下へ潜り始めた。

「クソっ!」

 ここに来て本格的に罠に嵌まったことを悟ったヒェトラとモートレ。

「ヒェトラ! モートレ!」

 ブルーケの叫びも、アバートの突撃も届くことなく三人は地下へ消えた。



こんにちは、

下野枯葉です。


寒い。

でも冬らしくて好き。

さて、抱擁です。

一説にはハグをすると人間にとって良いことがあるそうです。

脳内で良い成分が出るとかなんとか。

きっと伊勢もヒェトラもモートレも幸せいっぱいです。

ンなワケあるか。

本格的に伊勢の恐怖を示していきたいところですが、

まぁ書いてて楽しい。

人間と馴れ合わないAI。

コイツいいキャラしてるわぁ。

もっと丁寧に描きたいんだけど、勢いで書いちゃう。

悪い癖。

今後に期待。

表裏を持った瘋癲編も山場に入ったところです。

大トロです。

今回はこの四人にフォーカスします。

悲しいくらいに戦ってもらいます。

非人道的なのは私なのかもしれませんね。


では、

今回はこの辺で。






最後に、

金髪幼女は最強です。

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