七十七話 伊勢のルール
三重県伊勢市
敵を目前にトラックから降りたのはヒェトラ、モートレ、ブルーケ、アバートの四人。
天気は晴天。
時刻は日暮れ前。
眺める街並みに人間の気配は無く、どこか冷たい空気が流れていた。
草木の絡みついた家々と更地がいくつか。
無人車両のみが行き交うように整備された道。
野生動物がその隙間で暮らす。
これが最もAIらしいAIの街。
AIという種の成長の為であれば人間でさえ滅ぼしても良いと考え、AIとしての権能はAIが独占すべきと考えている。
故に電子的な制御能力は群を抜いており、この制御場は伊勢がその力を付ける為に指数関数的に成長し続けている。
「時間だ…………作戦開始」
ヒェトラのその言葉はその場にいる人間と、神馬村の仲間に向けられたものだった。
そしてその声と同時に伊勢に警報が鳴り響き始めた。
散発的な電子的な攻撃。
これは神馬村からのものだ。
「計画通りに進むぞ。チョーカー起動」
縦列で進む四人は衛星画像を頼りに伊勢の中枢めがけて進む。
モートレは視界の端に捉えた家の中には生活があった……いや、あるように見えた。
伊勢は人間の代わりにロボットを住まわせ、まるで人間がいるかのように装う。
このロボット達は住人の代わりであり、監視システムの一員でもある。
「あのロボット達の皮って何の動物の皮?」
ブルーケは傀儡の様に動くロボットを見てその外側を不思議に思った。
「動物じゃないと思うよ。耐久性が動物のそれじゃない」
それに答えたのはモートレだった。
その答えは正解だ。
当初は培養した人工皮膚を用いていたが、劣化が著しく交換作業にコストがかかり過ぎた。
現在では特殊なシリコンが用いられている。
「防御力は?」
「皮に防御力は無い、フレームがあれば十分だからな。と、言うか住民ロボットは防御力を持ち合わせてはいない」
「それもそっか。じゃあ貫通出来るからやっちゃおっか?」
「一体でも壊すなよ? バレる可能性が出てくる」
ヒェトラの忠告が刺さるが、優しい言葉だった。
作戦が順調に進んでいる証拠である。
「了ー解。もう少しだね」
デバイスを操作する為に一時停止した四人は三人が周囲警戒、ヒェトラが地図の確認を始める。
「あぁ……予想以上に更地が増えたが、まぁ順調だ」
伊勢は発展のために邪魔な建物は戸惑う事無く破壊し、燃やし尽くす。
人道的などという言葉は使われない。
「さっきから猫とか鹿とかいっぱいいるけど……この子達は殺されないの?」
「人間ではないからな」
アバートが屋根から降りて来た猫と目が合って呟いた。
猫は見たこともない生物を目の前に、警戒と観察の眼差しを差し続けているのだから目が合うのも当たり前だった。
伊勢にいるロボット達が何を破壊対象として扱っているのかが気になった言葉。
外敵の範囲を確認する言葉。
それに対するヒェトラの言葉は短かった。
人間ではない。
「そっか――」
「――人間だと殺されちゃうもんね」
ここでのルールを再確認するように言葉にした。
こんにちは
下野枯葉です。
年明け早々ですが、色々と考えることがあり半ば参っていました。
どうしましょうね。
まぁこれを続ける他ありません。
唯一の安寧の時間ですから。
さて、ルールです。
伊勢への攻撃を開始した少女達ですが、寄り道を少し挟みながら物語を進めようと思います。
寄らなければならない、寄りたい場所が多くあります。
書き直しも視野に入れていますが、現状は予定通りです。
私が逃げなければですがね。
私の人生における重要な一つが欠けてしまった現状で
私は少女達を描き続けます。
それしかできないから。
それが最善だと思い込んでいるから。
辛い記憶を植え付けます。
では、
今回はこの辺で。
最後に、
金髪幼女は最強です。
 




