七十話 未来を
三重県伊勢市。
彼の神社の下宮と内宮の間。
AI伊勢が構えるその裡でブルーケとアバートは刀を握っていた。
ブルーケは反りが大きく二尺五寸程の太刀、アバートは二尺三寸程の太刀だ。
対するは二足歩行のロボット、二十体。
それぞれ刀や槍で武装し、頭部と胸部のカメラでふたりの少女を認識していた。
壁、天井、床が白で統一され僅かに点滅しているドーム内。
広さは野球場よりも狭いが、白く光る空間で広さを錯覚してしまう程だ。
「これで負けたら言い訳できなくなっちゃうよ?」
煽るように声を上げたブルーケ。
『お互い様だ。さぁ、命を私に見せておくれ』
部屋全体に響き渡った伊勢の声。
それと同時に、その空間は砂漠に変わる。
『決戦の舞台だ。乾きに潤いを』
空間の全ては現実のものではなく、伊勢の創り出したものである。
足元の砂も、焦げるような陽射しも、蜃気楼も実際のモノと相違無く感じる。
「舐めるな」
その血で潤せ。
とも捉えられる言葉に怒りを露発したブルーケは太刀を地面に突き刺す。
その刹那。
空間は変化する。
――夜空の下のコスモス畑。
新月の夜に冷たい風。
星空の下でコスモスは朧気に光を帯びる。
一面の絶景に感嘆の声を漏らす者は無く、唯々沈黙が訪れるのみ。
数秒の沈黙の後、ロボットが四体襲い掛かる。
と同時にブルーケとアバートはそれを迎撃し、鉄屑に変える。
「ヒェトラを返してもらおうか」
『やってみろ』
――人外と人外がぶつかり始めた。
◇
その光景がモニタに映され、そこで暗転する。
『……良い』
伊勢は短く声を漏らし、処理を開始する。
独自に創り出した、未来観測システム『Urania Observer System』。
それによって観測した未来に対し、評価を下し、次の取るべき行動を決定する。
『なぁ……アキヒロ』
こんにちは、
下野枯葉です。
彼岸が来ました。
秋も来い。
暑さは帰れ。
さて、
未来を
です。
未来に関しては作者が結構拘って書いています。
別作品でも度々触れていますし、この作品でも触れようと思います。
この作品では『AI伊勢』という異質を形にした存在に担ってもらいます。
最近AIに深く触れた作者が、七十年以上先のAIの未来を見てきました。
そう、未来を見てきました。
未来を観測し、創造できると確信しました。
星空がキーワードです。
では、
今回はこの辺で。
最後に、
金髪幼女は最強です。