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CRIMINAL=9  作者: 下野枯葉
表裏を持った瘋癲
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六十八話 呪い

「ここは?」

 ファントムは目の前の光景に戸惑っていた。

 物の少ない部屋。

 オフィスデスクにノートPCが一台。

 引き出しが三つあるキャビネットが並んで二台。

 気が付いた時にはここにいた。

 特徴の無い部屋だが記憶の片隅に覚えがある。

「……そういうこと、か」

 ここが博士との別れの場所であることを思い出し、夢の中にいることを理解した。

 あの日、ファントムは暁啓がこの部屋に戻ってくるのを待ち……殺した。

 この光景を夢に見ると言う事は、仕舞った記憶が蘇ったと言う事だろう。

 罪の意識を再び刻めと自分自身に言い聞かせようとしているのだろう。

 溜め息を一つ。

「誰だ」

 懐かしい声が背後から聞こえた。

「――っ!」

 振り返り、暁啓の姿を確かめたい気持ち。

 振り返らず、窓を破って逃げ出したい気持ち。

 あの時は葛藤の末、命令に従って振り返った。

 しかし、今は違う。

 逃げ出して、博士が死なない未来を作ろう。

 それが後悔の無い未来だ。

 だが、窓を破ろうとする腕は一切動かず、身体が勝手に振り返る。

「君は――」

「――博士。お久しぶりです」

「どうして」

「『僕』は道具でしかありません。……さようなら」

 ファントムの身体は自分の意思に反して動き続ける。

 あの日と同じ行動をなぞる。

 抗おうとする心も押さえつけられ、右手がハンドガンを掴む。

 暁啓が瞬きをする間に照準は定まり、状況は最悪のものになる。

「…………C2は変わっていないのか?」

「はい」

 その言葉がふたりの最後の会話だった。

 引き金が数回引かれ、暁啓の身体から鮮血が迸った。

 力無く倒れた暁啓を確認したファントムはこれ以上の痕跡を残さぬよう、背後の窓を開けてその場を去った。

 命令さえなければ。

 その言葉が何度も頭の中を巡り、苦しさから涙を流す。

 屍と化す前の暁啓の表情が当時は見えなかったはずだが、今は見えた気がした。


 復讐を誓い、憎悪を持った烈日の様で強烈な瞳。


 その視線がファントムを刺す。


『お前が死んだと聞いた那須暁啓は泣いていたぞ』


 頭にこびり付いた言葉が過去と現在を結び付けて離れない。




 不快な目覚めだった。

 朝霞基地の会議室。

 仁科に呼ばれ、先に入り待機していた際に、疲れから数分眠ってしまっていたようだ。

 松島襲撃と金剛陥落のあの日からファントムの精神状態は崩れ、この夢を何度も見ている。

「博士……俺はどうすればよかったんですか?」

 呟く言葉に返事は無く、静寂だけが残る。



「…………なんで俺、生きてるんだろう」



 夢の中の暁啓の瞳がファントムを呪い続けていた。


こんにちは、

下野枯葉です。


最近様々な要因で疲れがたまってきました。

どうしよう。

発散の旅に行くしかないですね。

もし、更新が一週間無かったら、旅行に行ってると思ってください。

そもそも、読んでくれている人はいるのだろうか?


さて『呪い』です。

呪いという言葉は『まじない』とも読めるそうですね。

面白い言葉ですね。

今回の呪いは誰が誰にかけたのでしょうか?

きっと対象はファントムでしょう。

……この物語を毎日考えているのですが、どうしてこんなにも酷い事が起き続けるのでしょう?

時々辛くなるんですが、全部C2のせいです。

そう断言しないと少女達は笑えません。

笑う姿も書きたいなぁ。


では、

今回はこの辺で。






最後に、

金髪幼女は最強です。

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