表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
CRIMINAL=9  作者: 下野枯葉
表裏を持った瘋癲
67/88

六十七話 想像

 地下室。

 最近になってやたらに増えたコンピュータ、合わせて周辺機器も増え、AIも増えた。

 それらの中心の椅子に座り、ヒェトラは一人でモニタを見詰める。

 そんなヒェトラは頭痛を感じていた。

 鈍痛。

 脈打つ度に視界が揺れる痛みだった。


 その原因はアバートの変化……そして――


「私は前線なんて無理だから金剛と榛名に任せるね!」

「長門は認めますが貴女は前に出てもらいますよ?」

「長門と私はセットで扱ってよー」

「ダメ。長門一人で防衛は十分だもん。陸奥も前線だよー」

「やだ! 長門も何か言ってよ」

「防衛に関して言えばワシ一人で十二分だ。足手纏いはいらん」

 長門の低く震える声でC2の喧嘩は鎮まったように思えたが陸奥は駄々捏ね続ける。

「えー長門と一緒がいい! 久しぶりだもん、あそび……知識を交換したいんだよ」

「遊ぶって言ったね陸奥? 認められませーん」

「榛名のわからずや!」

「大和を相手にして我儘を通せるワケがありませんね。良い子になりましょう」

「そうさなぁ、陸奥。良い子には褒美をやろう」

「えっ! ご褒美? やったー! あ、でも内容によっては従わないよ!」


 ――最高知能達の稚拙な喧嘩が目の前で行われている事だった。


「おい、くだらん喧嘩は終わったか?」

 眉間を指で押さえながらヒェトラは呟いた。

 その声は溜め息交じりの声で、怒りが含まれているのは明確だった。

「あぁ……すまないな。話すのは久しくて楽しくなってしまったよ…………ヒェトラ、四人も集めた今、君は何を想う?」

「……質問の意図は?」

 高揚感に浸りながら話す長門に対し、ヒェトラは緊張感を前面に声を放つ。

 老父と少女の声も対になっており異様な空気が漂う。

 しかし空気を直に感じ取ることが出来るのはヒェトラだけで、他のAI達は怒りを顕わにする人間がいるので静観している。

「この四人を集めたのは暁啓の意思だろう?」

「およよ?」

「やはりそうでしたか」

「長門も気付いてたんだ」

 唯一長門の言葉の意味を理解していない陸奥を置いて話は進む。

 この時、陸奥以外の全員が一瞬呆れの感情を持った。

 が、そんなどうでもいいことに感けている暇は無く、長門は話を続ける。

「暁啓の意思でここまで来た。次の段階はどうする?」

 長門の問いはあまりにも短い。

 短いが……先を見た広い問いだった。

「博士は――」

 過去が脳裏に過る。

 暁啓の最期……託された言葉。

 その言葉はヒェトラだけに向けられた言葉。

『C2を壊すんだ』

 あの瞬間が、忘れたい別れの瞬間。

「――何を想っていたんだろうな」

 涙を堪え、絞り出すように放たれたそれは心からの苦悩の言葉に違いなかった。

「暁啓は私達の上にいた。上の存在の思考など理解も解析もできない。彼の偉人は、天は人の上に人を作らないと言っただろうがアレは嘘だ。何度も言うが暁啓の思考はこの世の誰にも想像などできんよ」

「アレには続きがあるだろう。認識が間違っている」

「固いな。広く、浅く捉えよ」

「……」

「暁啓が今際の際に何を想ったのかワシは知らない。しかし、何を想ったのかを想像することはできる……祖国を想い、家族を想い――子を想っていたさ」

「そう、か。そうであればいいな」

 長門との問答に疲れ始めたヒェトラは、想像の範囲を出ずに仮定が積み重なる問いに理想を返した。

「今度、聞くべきだ」

「……聞けるのならば苦労は無い」

 死人に口無し。

 聞けるのであれば既にそうしていると笑った。

「いいや、聞けるとも……その思考を死と共に捨てると君は思っているのか?」

「まさか……いや、どこに?」

 驚きを隠さずに目を見開いた。

 可能性として存在しているにも関わらず、それを考えもしなかった自分に呆れる。

 そんな自分に憤りを感じる。

「人の干渉が無い場所……大和が隠しているハズだ」

「どこだ? と聞いている」

「人間の干渉の無い場所…………AI伊勢の中だろうな」



 長門の答えに目を伏せたヒェトラは最善を掴み取ろうとする。

 しかし、伊勢を相手にする状況に対し解を出せない。



 AI伊勢。

 人の存在しない街でAIだけの街を作り出したAI。

 その特性故に人の心も存在しない街。


 圧倒的な物量で叩き潰され、慈悲なく散らされる未来が見えた。


こんにちは、

下野枯葉です。


超低速の台風のせいで生活が振り回されました。

アイツ私より遅いよ。

もっと早く過ぎ去ってくれ。

欲を言うなら日本に来ないでくれ。


さて、

想像、です。

色んな状況で人間は想像します。

良い状況、悪い状況。

今後の展望。

過去の失敗を回避する為に。

理想の人と付き合いたい。

あ、これは妄想か。

似たり寄ったりですね。

ヒェトラと長門達は想像します。

今後の展開を。

相手は最強で最高峰のAI大和。

暁啓の言葉に従い、ヒェトラは未来に向かいます。

あ、今後暁啓の最期を詳しく描くのですが……

中々書くのが辛いです。

自分でこの物語を書いておいてなんですが、

惨い。

これに尽きます。

こちらも描くのをお待ちください。


では、

今回はこの辺で。






最後に、

金髪幼女は最強です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ