六十三話 人間では無い者
その日の夜。
真っ黒な空の下に雲が広がり星と月を隠す夜。
「ねぇ、どう思う?」
寝室で声を漏らしたのはブルーケ。
黒い髪が枕の上に広がり、寝室の黒さに溶け込む……いや、その存在全てが溶け込んでいた。存在自体が声を漏らすまでそこにいることがわからない程だった。
「知らん。榛名個人の見解だ。ここまで揃えて二割であって堪るか」
鋭い言葉が返る。
その主は同じく隣で横になるデッディだ。
「五割はあると思うんだけどなぁ……一個ずつ潰せばいいじゃん」
「大和と松島、伊勢が厄介過ぎる。一体ずつ相手にしても二割も納得できんことも無い」
曲者。
十二の内、攻撃能力が秀でている松島は最強の矛と称される。
その気になれば周辺諸国を武力で属国に変えることが可能とされている。
しかしそれはあらゆる約定によって制されているが、気まぐれが起きないとも限らない。
抑止力としてこの上ない。
「松島ねぇ……長門の権能を借りても捌かれた。使ったのが一部だけだと言えばそれまでだけど……記録を見る限り化け物だね、アレは」
先の作戦に於いて松島を強襲する為に封印中の長門の権能を一部取り出し、ハルバードを含む武力を向けたが……完全に全て捌かれた。
攻撃は最大の防御。
全く相応しい言葉であった。
「大和はそれ以上……未知は残り七」
大和は単体としてC2を任せられる予定であった為、その性能の説明の必要は無い。
「でもさ、ここまでゆっくりだけど一個ずつ倒せたんだから大丈夫だと思うけどな」
「……油断するなよ。特に伊勢…………アレは確実に人の手には負えない。異質過ぎる」
伊勢に関しては『怪物』としか表現できない。
「そうだね……アレは、人が扱える域を逸脱している」
ふたりは伊勢の行動と信念思い出し、恐怖する。
武力等の戦闘技術では上回っているが勝てない部分が大きすぎる。
人間に対する感情が無いが故の不鮮明性さが不気味に映り、AIとしての能力を合わせたときに恐怖が包む。
「もう寝ろ」
恐怖から逃げるように言葉を紡ぎ、夢へと。
「…………わかった」
ブルーケも同じように瞳を閉じて夢へ。
怪物の手が背中を撫でる感覚……冷たい金属が背骨に触れ、熱を奪いコツコツと音を鳴らす。
感情の無い機械的な何かがこちらを見ている気がした。
こんにちは、
下野枯葉です。
腰を痛めました。
辛い。
座っているだけでも辛いし、横になっても辛い。
せっかくの三連休は療養に徹しなければなりません。
辛いよぉ。
さて、人間では無い者です。
好きの反対は無関心。
そんな言葉を作ったのは誰でしょう?
嫌いに決まっているじゃないですか。
嫌いでないのなら、私や九人の少女達の心の傷はどう説明するんですか?
無関心は一定の感情が向きつつ、向けることを止めようとするモノのはずです。
ここで使われている無関心は感情が一切発生せず、相手を認識すらしないモノです。
全くの誤用です。
無感情と無意識の中間が相応しいでしょう。
……無感情は嫌いに至らないモノです。
だからこのお話の人間では無い者は無感情主です。
アイツは人間を想わずして人間を助けます。
助けるのはついででしかありません。
だから人間のことは決して嫌いではありません。
これは留め置いていただけるとありがたいです。
本編でも描きますが、重要な事です。
では、
今回はこの辺で。
最後に、
金髪幼女は最強です。
 




