五十九話 榛名解放
神馬村
松島でのファントムとの戦闘、金剛との交渉を終えた少女達は家に戻り集合していた。
「……よし」
「いいよ」
ビーとプーはPCの操作を終えて、ヒェトラに短く報告した。
地下の一室。
物理的に外との接続を無くした後に、位置情報の観測も無効化した隔離部屋だ。
机に向かうのはビーとプー。
ヒェトラはふたりの背後から近づいて画面を確認する。
他の六人は各々の待機姿勢で見守るだけだ。
榛名の解放を前に入念にチェックを済まし、ヒェトラは金剛から持ち帰ったケースに手を伸ばす。
視界の端にデッディの引き結ばれた表情を見たが、躊躇う事無くロックを解除して持ち上げる様に中を確認する。
金属製の直方体が目に映る。
直後、表面の電灯が数度光りモーターの起動音。
プツプツとスピーカーの音が鳴った後、声が聞こえる。
「初めまして暁啓の子供達。私は金剛……契約に従い榛名を開放する」
堂々と話す金剛に対してデッディは拳を強く握る。
「金剛……随分と削ったな」
ヒェトラは金剛の姿の理由を察して嘲笑を一つ。
「おや、わかりますか? ここに来る為とは言え随分と無茶をしました。私自身を残して聖域を含めた全てを削ぎ落しました」
所々ノイズが交じり、金剛にとって状況が良くないことをそこにいる全員が理解した。
言葉の通り身を削ったのだ。
処理能力の多くを捨て去り、自身の容量を縮小。
封印に近い形をとったのだ。
「榛名を起こせるのか?」
先行きが不安になる金剛に対し、念の為に確認を一つ。
「お任せください。……本当はやりたくないんですけどね」
「どういうことだ?」
「榛名に会いたくないです」
「私情を挟むな。やれ」
眉間に深い深い皺を刻み、蔑む視線を送ったヒェトラ。
「従いましょう。榛名と私を繋いでください」
カメラに接続されていない金剛は見えないハズのヒェトラの視線を感じ取って、慄く。
指示を一つ飛ばし、それを受けてビーとプーは金剛と榛名を繋いだ。
「……」
数秒。
静寂が包む室内で、あらゆるコンピュータが再起動を開始した。
「あぁ……アキヒロの意思を継ぐ子供達。やっと会えたね」
響いた声は女性の声。
明るい友人の様に話しかけてくるその声は榛名のモノだった。
「ワタシは榛名。解放の礼としてアキヒロの遺言とチョーカーの使い方を教えてあげるよ」
こんにちは、
下野枯葉です。
台風来るの早いですね。
驚きました。
あと20個くらい発生するんですかね?
どのくらい来るんですかね?
対応を考えておかないと大変なことになるなぁ。
さて、
榛名解放です。
やっと榛名を登場させることが出来ます。
当初から鍵を握るこのキャラクターの登場を楽しみにしていました。
さぁ、物語が進みます。
進む前に、解説が幾つかありますので悪しからず。
お楽しみにー。
では、
今回はこの辺で。
最後に、
金髪幼女は最強です。
 




