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CRIMINAL=9  作者: 下野枯葉
4章 狂気の識者
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四十九話 遭遇

 膝から力を抜き、体勢を低くしたアバートの直上を弾丸が通り抜けた。

 滑る様に地面スレスレを走るアバートに対してファントムたちは幾発かの弾丸を浴びせようとしたが、悉く躱される。

「クソっ! 的が小せぇ!」

 堪らず声を上げた班の殿、富岡は一歩、また一歩と後退する。

 アバートは富岡側からの射撃が僅かに減ったことを感じてビゾンを向け、散らすように発砲しながら駆け寄る。

「みぃつけたぁあああ」

 暗闇に紛れ、接近したアバートは駆ける勢いを乗せた蹴りを富岡向けて放つ。

 咄嗟に七五式で防いだが、蹴りの重さが予想以上で数メートルを転がるように押し飛ばされた。

 七五式は歪んでしまって使い物にならなくなったと即座に判断した富岡はハンドガンに持ち替えて乱射した。

 その全ては躱され、ビゾンの銃口が富岡を捉えた――

 ――刹那。

 アバートの右方向から五・五六㎜弾が放たれた。

 それはもう一人の班員、駒形からの攻撃だった。

 富岡に当てないように連射は避けつつ、敵の行動を制限する数の有利を活かす攻撃。

 辛うじて躱しきったアバートは距離を取り、木の陰に隠れた。

 

 一方のヒェトラはファントムと撃ち合っていた。

 体が小さく、足の速いヒェトラはチョーカーから流れ込む戦闘経験を最大限活かし、一瞬の隙を見逃すことなくジリジリと距離を詰める。

 段々と銃弾の密度が高くなる状況に互いの集中力が限界まで引き上げられる。

 ヒェトラが使用しているビゾンという銃はヘリカルマガジンを使用している都合上、リロードを素早く行うのに少々のコツが必要だ。

 ファントムは敵のリロード時間が熟練のモノとは違うことを感じ取り、その隙で一気に敵に向けて駆けた。

 予想外の急接近に驚いたヒェトラだったが、望むところだという表情を浮かべて素早くナイフを取り出した。

 ファントムも順手でナイフを握り、掌が天を向く様に突きを放つ。

 ヒェトラの左肩を狙ったそれは身を捻ることで躱され、カウンターとして逆手のナイフが腹部を狙う。

 ファントムは放った右手を水平方向に振り、首を狙う。

 上体を後方に倒し間一髪で躱し、左手で支えてブリッジ。

 勢いを乗せて逆立ち。

 顎に狙いを定めて蹴り上げる。

 頭を左に振り、右頬を掠る。

裡に入られる事への恐怖から大振りの右蹴り。

空中で天地を戻そうとする体勢の中で蹴りへのカウンターは不可能と判断し、脚と腕を使ってガードを固めた。

軋む痛み。

慣性に乗って後方へ飛ぶ。

両脚と左手を使った着地。

「どうしてC2を狙う?」

 動きの止まった数秒。

 このタイミングしかないと判断したファントムは眼前の少女に問いを投げた。

「それを聞いてどうする?」

「対話が出来るのならばそれに越したことはない」

「……お前が亡霊だな」

「そうだ、と言ったら?」

「話すことは何もない!」

 怒声と同時に地を蹴ったヒェトラ。

 その速度にギリギリで応じたファントム。



 再び格闘戦が始まった。


こんにちは、

下野枯葉です。


気温の変化についていけずに体調をおかしくしました。

たいへんだぁ。


さて、

遭遇です。

松島に対する攻撃は勢いを増し、それを捌き続けるこの状況。

歩兵同士の戦闘結果がこの戦場を左右します。

近接戦闘が始まり、命に銃口を突き付け合う。

一瞬でも気を抜けば終わってしまう戦闘は描くのが大変です。

でも、まぁ、結末は決まっている。

というか、向かう方向は決まっているので、どう向かうかを丁寧に書いていきたいですね。

お楽しみに。


ちなみにアバートが二人を足止めしていますが、実力的にはファントムが加わっても

足止めだけならば可能です。

アバート強いんだよなぁ。


では、

今回はこの辺で。





最後に、

金髪幼女は最強です。

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