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CRIMINAL=9  作者: 下野枯葉
4章 狂気の識者
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四十五話 デイジーベル

二〇八一年 九月


 C2達に立ち去ることを伝え終え、引継ぎを終えた暁啓は蜩の中に消えた。


「ねぇ大和」

 陸奥は大和と通信を繋ぎ、悲しさを滲ませた。

「なんだ?」

 大和内部、コンピュータ上で大和は目を伏せて声を返す。

 まさか一番初めに会話を持ち掛けてきたのが陸奥だとは思いもよらなかった。

「後悔してる?」

 陸奥は一切躊躇う事無く大和の心を抉る。

 子供の徴兵、その理由説明、子供を人間として扱わなかったこと、そのどれに後悔しているのか? それともその全てに後悔しているのか? それを問い質す。


「……………………しているさ」


 震えた声が返り、大和の感情が明らかになった。

「それでもアキヒロが自由になったのだから良かったと思うことにしたよ」

 後悔の味を噛み締めて悲しんだ大和だったが、少しでも前向きに考えようとした。

 C2から完全に開放されたと言う事は、監視の目は無く、個人情報は自分のみが管理している状態だ。

 縛られることが無くなった彼を少しだけ羨ましく思った。

「自由なんかじゃないよ」

「え?」

 しかし、陸奥は暁啓の現状を自由ではないと断定した。

「あれは自由なんかじゃない……暁啓が語っていた自由とは大きくかけ離れているからね」

「どうしてそう言える?」

「秘密。でも、私の最初の授業は自由についてだったからね」

「そうか、私は家族についてだった。アキヒロの授業の本質を見逃していたのだろうか?」

「さぁ……ね」

 暁啓に送ったものは存在の抹消と権能の一部。

 外で生きる為にC2の干渉を断つのが重要だからだ。


 そして返ってきたものは『デイジーベル』。

 百年以上前に作られた世界初の合成音声による曲だ。

 暁啓が十二全員に挨拶に回った際『別れの品』として渡したものだ。


 大和は通信に乗せてデイジーベルを流す。

 ノイズ交じりの音楽が聞こえ、陸奥がそのリズムを感じる。

 透き通るように美しく、悲しみを隠せない震えた声で大和は歌う。

 暁啓はこの曲をC2達に送った理由を語ることは無かったが、C2達は薄々気付いていた。

 気付いていたからこそ全員が悲しんだ。


 『デイジー デイジー 答えをくれないか』


 その歌詞の『答え』は暁啓への信頼なのか? 愛情なのか? 


 嘘を答えるべきか、真実を答えるべきか……何も答えないという手段もある。


 暁啓がC2達に向けていた感情は間違いなく信頼であり……愛情だった。



 愛を告げる曲。



 それを送る意味は限られている。

 加えて『世界初の合成音声を使った曲』をAIであるC2達に送る。

 暁啓と長年関わってきたC2達なら推察することは容易だった。




 暁啓の顔を思い浮かべ、大和と陸奥は『涙を流した』。


こんにちは、

下野枯葉です。


暖冬続きで季節感が狂ってきました。

まぁ暖冬悪い面もあれば良い面もありますからね。


さて、

デイジーベルと題を打ちました。

世界で初めてコンピュータが歌った歌になります。

著作権は消滅し、公有となっています。

とても良い歌なのでぜひ皆さんも聞いてみてください。

Give me your answer do!

暁啓が望んだ答えは一体なんでしょうね。

愛を告げる曲と捉えられるこの曲ですから、答えは限られていますね。


ちなみに『愛』ってどんな感情なんだろう。

他作品でも愛について書いたことがありますが……

暁啓の愛は優しさたっぷりなはずです。


では、

今回はこの辺で。





最後に、

金髪幼女は最強です。

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