二十七話 暁
住人を鏖殺し終えたジンシーは老父の家に向かい走る。
夜明けの様子を横目に見てチョーカーからの情報を思い出す。
蘇った記憶。
死ぬはずだった記憶。
死を願う祖父。
頽れた父の寂しい背中。
訳もわからず見詰めることしか出来ない自分の体。
「ごめん……ごめんなぁ……――」
祖父は昇り始めた陽を背に椅子の上へ。
薄く広がる様な光が瞳に入り、眩しさを感じる。
「不幸になっちまったんだ……ワシがわるいんだ……」
頑丈に作られた縄で輪を作り、首を通す。
眩しい。
眩しいよ。
…………暁の空は眩しいよ
「ごめんなぁ……」
笑顔が見えた瞬間に、祖父は椅子を蹴り飛ばした。
縄を支えに宙に吊られ、あらゆるものが垂れ流しとなった。
眩しい……眩しい…………眩しい。
暗い。
「君は幸せになるんだ」
現れた男に視界を塞がれ、光を感じることが出来なくなった。
「君を不幸の象徴になんてさせない。私がそれを許さない」
真っ暗な視界で夜明けを認め、安心した。
ここが私の居場所だ。
そう何度も自分の中で繰り返す。
さようなら……大切だった人。
こんにちは、
下野枯葉です。
暁。
夜半から明ける時。
暗闇が別れを告げて、煌々と陽が昇る。
ゆっくりと白みだす空のその奥に瞬間的に陽が現れる。
瞳を潰してしまう程の眩しさは突然に全てを照らす。
おいおい、もうひとりだろう?
闇の中に閉じ籠めてもいつかは陽の下に。
そう……誰かが語り掛けてきます。
夜明けは平等に。
暁。
眩しく、等しく、苛烈に魅せるんだ。
では、
今回はこの辺で。
最後に、
金髪幼女は最強です。