十九話 特別警護大隊
四月十九日
青森県弘前市 第五C2制御場『AI陸奥』
人口四百三の小さな集落には百十七の家があり、農村と呼ぶのが相応しい田畑と農場が広がる。
どんよりとした雲が覆い農夫は天候が崩れることを予測し家畜を畜舎へ。
農作業も早めに切り上げ、人々は家へと戻ろうとしていた。
そこへ数台の装甲車両がやって来た。
ただならぬ状況に住人がぞろぞろと様子を伺う。
装甲車から二人の男が現れ、ゆっくりと住人に近付く。
「陸軍特別警護大隊、仁科です。AI陸奥は今どこにありますか?」
敬礼と共に名乗った仁科は筋骨隆々……その巨躯の威圧感を遺憾なく振り撒き、住人達に危機感を覚えさせる。
もう一人はファントムだった。
何もせず後ろに立ち、何かを待っているようだった。
「警護大隊…………陸奥の居場所を教えても構いませんが……無駄ですよ」
仁科の要求に住人は数秒悩んでから、そう返した。
警護と称してはいるが、守るのは人間ではなくC2であることを理解し、人間を守るつもりなど毛頭無いことを察した。
「私達が貴方に陸奥の居場所を教えた瞬間に、おそらく陸奥は居場所を変えます。そしてそれは貴方が陸奥を探す限り……続けられるでしょう」
状況を説明する住人はいたる所に取り付けられた監視カメラを一瞥してそう嘆く。
「やはりそうですか。では現状からお伝え致します。この陸奥は数日以内に襲撃されます。皆さんは直ちに避難行動を開始してください」
「それはできません。私達は陸奥と共に生きることしかできないのです。襲撃を受け、陸奥がその機能を停止、または破壊されてしまえば死ぬ他ありません」
「殺されるかもしれませんよ」
「そうですね……でも仁科さん達は守る為に来て下さったのではありませんか?」
「守るより先に逃げて頂きたかったのですが……そういうことであるならば、全力でお守り致します」
「……よろしくお願いします」
まるで住人を守るような口ぶりで、明言を避ける。
住人は守られることは決してないことを理解し、自衛の為各々が家に籠る。
そして老父も同じように家に鍵をかけ部屋へ。
軋む木の床に薄緑色のカーペット。
小さな机と対になる椅子……小さな本棚。
窓は一つも無く、小さな電球が朧気に光る。
そして一際目を惹く大きなコンピュータ。
老父はコンピュータの前に正座をして頭を下げる。
「陸奥……時が満ちようとしているよ」
震える声で囁き、涙を浮かべていた。
集落に取り付けられたカメラは仁科とファントムを捉え、陸奥がその姿を記録していた。
こんにちは、
下野枯葉です。
ホグワ○ツに行きたい。
胃腸が壊れた。
そろそろ転職か?
さて、特別警護大隊と題を打ちました。
9人の少女達の明確な敵でしょう。
そしてC2の目的も明かしていく為に必要な存在です。
陸奥の住人に関しては、この後大活躍をしていただくのでお楽しみに。
ちなみに、陸奥の住人には元ネタがあります。
笑う為の人々です。
では、
今回はこの辺で。
最後に、
金髪幼女は最強です。




