十七話 一部として、苗床として、奴隷として
四月十七日
神馬村
デッディとブルーケ、プーの部屋。
部屋全体は明るい色で構成され『カワイイ』が散りばめられているが、デッディの机だけは雰囲気が違っていた。
「第五……ねぇ」
地図を机に広げ青森県に指を乗せたデッディは大きくため息をついていた。
青森県弘前市。
C2第五制御場がある場所だ。
都市部以外の全ての居住地域は人ではない何者かがいる。という認識の中の『例外』。
田舎の集落にC2の処理システムを植え付ける。
家々にコンピュータを配置し、メインシステムを日によってランダムに移動することで強襲やハッキングから守る……。
言い方を変えれば人をシステムの一部として、苗床として、奴隷として扱っているだけだ。
デッディはその現状に嫌悪感を抱き、顔を顰める。
「システムに負けた犬どもが」
毒を一つ。
「なになに? 第五?」
背後から覗き込むように現れたのはブルーケだった。
「ん? あぁ…………AI陸奥――」
「――隠されたAI、だね」
陸奥の別称を口にして笑ったブルーケは窓の外に視線を送る。
「全く……後はヒェトラ達に任せるだけだな」
デッディも同じく視線を窓の外に送り、小さく無事を祈った。
AI陸奥破壊作戦
青森県弘前市の陸奥が存在する集落に侵入し、システムの存在するコンピュータを特定。その後データを盗んだ後に破壊を行う。
それにあたり組まれた作戦内容は迷子を装い集落に潜入を行うというもの。
そこで選ばれたのがヒェトラ、ジンシー、プー。
ヒェトラもジンシーもコミュニケーション能力は十分にあり、年配者から好かれやすい。
そしてハッキング要因のプー。
デッディとブルーケが選ばれなかった理由は身長が一五五cm以上と大きく、幼さが足りないというものであった。
モートレとシーナはコミュニケーション能力不足。
アバートはその両方だ。
三人だけの潜入作戦。
大きな銃火器を持ち込むことが不可能な状況、そしてAI陸奥の内で潜入を行う。
今までの作戦よりも危険度の高い作戦。
三人は時間をかけてでも確実に成功する為に――
――より幼く見える服を買いに街へ出かけるのであった……。
こんにちは、
下野枯葉です。
寒波襲来にビビッて準備したら大したことなくて損をした気分になりました。
あーあ。
買ってしまった雪かきとかどうすんだ。
蔵の肥やしになるだけだろ。
さて。一部、苗床、奴隷。
第五制御場。AI陸奥へ。
このAIはずっと書きたかったものです。
いやー、これはジンシーのことも含めて笑えるはずです。
あーあ早くあのシーンを書きたい。
書きたいけど、書くまでの流れを纏めないと。
纏め乍らもっと美しく描かないと。
ジンシーの笑顔が咲かないと。
この物語は笑えなくなってしまいます。
では、
今回はこの辺で。
最後に、
金髪幼女は最強です。




