十一話 更新開始
昨日の早朝。
シーナは冷たく真っ白な夢を見ていた。
凍ってしまうような寒さに震える力も無くなり、ただ熱を奪われるのを感じる。
冷たい夢。
「……雪」
目を覚まし、夢であったことを認めた。
呆然と部屋を眺め、心の奥底が温かくなるのを感じる。
いつもの寝室。
モートレとビーと三人の寝室。
真ん中ではモートレがモゾモゾと動き出している。
「…………」
「んん……シーナ?」
片目だけを懸命に開き、モートレは目覚めた。
ビーは微動だにせず夢の中だ。
「…………」
ふと夢を思い出す。
誰の声がシーナに届いたのだろうか?
母の声だろうか?
それとも……。
「随分と早起きだね。もう起きてしまおうか?」
伸びをして、時計を確認したモートレは提案をひとつ。
ビーが寝ていることを確認し、溜め息をついた。
「ねぇ、モートレ」
「ん?」
「モートレはさ…………うん。今、幸せ?」
その質問をしたシーナは俯いていた。
聞くべきではない質問だったから。
暗黙であった話題であるから当然だろう。
それでも聞いた。
「唐突だね。……勿論幸せさ。私たちの境遇はそれぞれ違くとも、似たようなものだから……シーナだってわかるだろう? 『生きている』それこそが最善さ」
「そう、だよね。…………じゃあ起きて朝ごはん作ろうか?」
それが望んだ答えだったのか、そうでなかったのか。
シーナは話を切り上げて、目をあげた。
いつもの無表情が戻り、モートレを見上げる。
「それならデッディを起こそうか」
「うん。私たち料理得意じゃないもんね」
「否定できないね」
シーナは真っ白な上着を一枚羽織り、モートレと一緒に別室にいるデッディのもとに向かった。
ドアが閉まる音で、一人部屋に残されたビーは目を覚まし、チョーカーを操作した。
「……シーナ?」
身に覚えのない更新表示があり、シーナの同調率に大きな変更が加えられたことを認めた。
「プー。起きて」
直ぐに別室のプーと同調を開始し、解析を開始した。
寝起きであるのにも関わらず、ふたりは無駄のない手順を踏んで更新を行った者の特定を開始し、ものの数分で特定を完了した。
「やっぱり」
『予想通りだね』
ビーとプーは同時に飛び起きてヒェトラのもとに向かうのであった。
こんにちは、
下野枯葉です。
新年になり、心機一転。
切り替えた想いで書いていこうと思っている下野枯葉です。
さて、
更新開始
です。
2つ目のC2攻略中ではありますが、この物語の根底にある部分を紹介する為にとても良いお話だと思います。
謎、といいますか、未だに説明が追いついていないですが、ゆっくち紹介していきたいなと思っています。
グダらないように頑張りたいですね。
では、
今回はこの辺で。
最後に、
金髪幼女は最強です。




