十話 真っ白で冷たくて――
シーナは頬に感じる冷たさで目を覚ました。
「また、夢? ううん……」
溢れていた涙を拭き、周りを見渡す。
時折風に撫でられる雪が視界を悪くし、体の芯から熱を奪っていく。
「雪……春でも降るんだ」
夢の中で感じた冷たさを思い出しながらシーナは、チョーカーを再起動した。
気を失っていた時間はどのくらいだろう?
敵はまだ同じ場所にいるだろうか?
三度深呼吸をしてから敵を排除する為に行動を考える。
――瞬間。
視界が真っ白に染まる。
「雪――」
景色も身体も雪が包む。
冷たくて。
冷たくて。
でも、身体の奥底は熱くて。
心地良くて。
その場で呼吸を忘れた。
「雪――」
短く言葉にした。
「あぁ……」
苦しさを思い出し、肺が冷たい空気を一気に取り込む。
「っはぁ! ……はぁーっっっ!」
胸の痛みに顔を顰め、数秒悶える。
『起きろシーナ!』
聞き慣れた声でシーナは正気を取り戻す。
目の前には夜が広がっていた。
「ん……ヒェトラ?」
『何があった』
「ううん。寝ぼけてた……うん。寝ぼけてたんだ、えへへ」
シーナは何度か首を振る。
いつの間にか奥底の燃えるような熱は消え、春の夜の寒さが包んでいた。
視界にも意識にも問題が無いことを再認識し、言葉を返す。
『しっかりしてくれ。シーナには退路を確保してもらわなければならない』
珍しくシーナが笑ったことに驚いたヒェトラだったが、それが強がりであると思った。
心配の声をかけるべきかとも思ったが、いつも通り接するのが一番だと思い言葉を選んだ。
「……うん」
『そろそろこちらの仕事も終わる。退路を邪魔するモノを全て排除しろ』
「うん、おっけー」
「夢……また、あの夢だった」
こんにちは、
下野枯葉です。
師走も佳境。
今年の日曜日は今日が最後になります。
あっという間でした。
歳を重ねる度に一年が短く感じます。
歳は取りたくないものですね。
さて、本編ですが。
雪です。
現実では豪雪が猛威を振るっています。
自然の脅威を感じるばかりです。
ただ、雪は情景を綺麗に映すものでもあるので……少し複雑な気持ちです。
本編でも雪の辛さを少し感じながら、その表情を魅せてくれればなと思っています。
もっと冷たくなってしまうのかなぁ?
では、
今回はこの辺で。
最後に、
金髪幼女は最強です。