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神様相談所  作者: エスカルゴ
2/12

桜町の日常

桜並木を、すごいスピードで少女が駆け抜けて行く。


ーーーー時は平成ーーーーー


五月のある日、桜町一の桜並木では、毎年の名物、桜吹雪が雨のように降り注いでいた。

古く、赤茶けたタイルに沢山の薄紅が敷かれ、桜の絨毯と化している。


木々の隙間から漏れ出る昼の木漏れ日は、優しく観光客や通勤中のサラリーマンやOLを見送っている。


沢山の人が和やかに桜を楽しんでいる中、


「うわああああああい!ちこくだああああ!」


可愛らしい声を裏返しながら、とある少女が桜並木を駆け抜けて行く。

周りの人は、観光客はなんだようるさいな、と目を向け、地元民は、もうこんな時間かと慣れたように時間を確認した。


……と、観光客は、ハッと息を呑んだ。


"可愛い"や、"美しい"では表せない美貌が、そこに有ったからだ。


冬のとある日、外を走っているときに疲れてふと見上げた晴天の空のように、

冷たくて、清々しくて、息を飲むような、なんとも言えない感情が沸き上がって泣きたくなるような……そんな蒼髪に、


透明な湖の深淵を覗き込み、そして覗き返されたような、見つかってしまったかのような、そんなゾクリとした恐怖がする、大きなアーモンド形の、高貴な猫のような瞳。


陶器で出来ているみたいに滑らかで白い、艶やかな玉のような肌。

少し凹凸が少なく、小柄ではあるが、それもまた少女の人形的な、神秘的な魅力が際立たせている。


形の良い鼻も、ぷっくりとしたピンクの唇も、

美の女神も裸足で逃げ出すような眩い美貌に拍車をかけている。


桜の絨毯を蹴散らしながら走る少女の名前は、桜里舞。


現在、遅刻気味である。

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