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ゴッドファーザープリンセス物語(仮)天使のミステイク  作者: 傘流 正英
第一章  転生編
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第七話  奥義パーティードレス剣

ソフィアは、パーティードレスを着るのが、とても嫌なようです。

ああ~、鬱じゃ。

死にたい・・・


わるいな、今はほんとうにそんな気分なのじゃ。

じつは今日、わしの初お目見えパーティーがあるのじゃ。

今までは、嫌じゃと言って後回しにしてきたのじゃが、いつまでもそんなことはできなかったのじゃ。

母が、もう許しませんよ、と言ってきたのじゃ。

わしとしても、そんなことはわかってる。

じゃが、ひとつだけどうしても、嫌なことがあるのじゃ。

それは、ひらひらのドレスを着る事じゃ。

わしの普段着は、特注のズボンなのにじゃ。

わしは、母に聞いてみた。

その時の答えはこうじゃ。


「母よ、やっぱりドレスを着なければいかんのかのう」

「ドレスなんてあたりまえです。ソフィアあなたって子は・・・」


あの時の母の顔を思い出すと、もうなにも言えなんだのじゃ。

うう~、これもあの馬鹿天使のせいじゃ。


「うわ~っ、綺麗なドレス。これ、おじいちゃんが着るの?」


馬鹿が来おった。


「そうじゃ、わるかったな」

「わるいだなんて。ソフィア姫ならきっと似合うよ」


この人の気も知らぬ馬鹿が。

ソフィア姫はわしのことじゃ。

じゃが、わしの本性はただの爺じゃ。

似合う似合わないの話じゃないのじゃ。


「あっ、だれか来る。じゃあねぇ~」


とうとうこの時がやってきてしまったのじゃ。

あの、禍々しいドレスを着る時が。


わしは、まるで着せ替え人形のように、メイドたちによって着替えさせられたのじゃ。

「とてもかわいいですよ~姫様」などと、皆が口をそろえて言ってくるのじゃ。

ティアまでもが。


「お似合いですよ、姫様」


な、泣けてくる。

そして、お目見えパーティーが始まった。


「よく集まってくれた。二人の娘を紹介しよう。長女のソフィアと、次女のリンダだ」


や、やめてくれ父よ。わしは早くこの場を立ち去りたいのじゃ。

しかし、父の長話はなかなか終わらず、終わったころには、わしは腑抜けのようになってしまったのじゃ。


「ソフィア大丈夫か」

「向こうの椅子にでも座ってろ」

「す、すまぬ。兄よ」


あまりにも呆けていたのか、二人の兄が心配してやってきたのじゃ。

わしの性格を、よく知る二人の兄が。

この二人に、心配されるような日が来るとは・・・

暫く座っていると、ティアがやってきたのじゃ。


「姫様、お水です」

「ありがとうなのじゃ」


さすがティアなのじゃ。

わしのことを一番わかっとる人間なのじゃ。

うむ、ドレスを着るのは嫌じゃが、パーティーを眺めるだけならなかなか良いものじゃ。

可愛い女の子が、あちこちにいるのじゃ。

さすがに、皆が皆どこかの爵位もちの、ご令嬢じゃ。

じゃが、わしとて負けてはおれぬ。

じゃから、パーティーに出る代わりにあることを、母にお願いしたのじゃ。

それは、ティアやメイドたちにもドレスを着てもらうことじゃ。

母は、ちょっと渋々じゃったが、父はノリノリで賛成してくれた。

それだけではない。

これからの、王室主催のパーティーは、メイドたちもドレスを着ることになった。

父の奴も、やはり男という事じゃの。


「あの~、姫様、私たちまでドレスというのは、ちょっと・・・」

「とてもかわいいから、いいのじゃ。ティアたちは、立ってるだけでもいいのじゃ。」

「でも~・・・」

「執事長も、今日は楽しむように言ってたじゃろ」

「それはそうですが」

「あとは、執事たちに任せとけばいいのじゃ」


執事長のマーロンは、男のくせにというか、男だからこそというか、意外と気の合うじじいじゃ。

まあ、今日はここでやけ食いしながら、女たちでも眺めるとするか。


「わるいがティアよ、何か食い物でも取ってきてくれんかの」

「分かりました姫様」


おっ、なぜかあそこにはいい女が、集まっておるな。

おお、真ん中におるのは、ダラス兄ではないか。

なかなかやるもんじゃな、あやつも。

ん、あっちには、少しばかり残念な女が集まっておるの。

あれは兄グレンか。

じゃが、どちらの兄も、少しばかり迷惑な顔をしておるの。

ま、まさか、好みの女が反対という事か。

それでも相手をしなければならぬとは、王子の仕事も大変じゃな。


「姫様、食べ物を取り分けてきましたよ」

「ありがとうなのじゃ。わしのことはもういいぞ。向こうでおしゃべりでもしてくるのじゃ。」

「わかりました」


わしは、向こうのほうが騒がしいので、ティアがいこうとしたのを、わしは止めたのじゃ。


「ティアよ、あれはなんだ」

「気づいてしまいましたか。何処かのご子息がメイドにドレスなどもったいないと、ケチをつけているのです。」

「ティア、これを頼む」


わしは、取り皿をティアに渡すとそれに向かって走っていった。


「やめんか、どこぞのバカ息子が!メイドはすべてわしのものじゃ。文句があるならわしが聞いてやる」

「そうですか、それではメイドにドレスを着せるのをやめてもらいたい」


そのとき、おくれて兄たちもやってきた。

あにたちは、何か思惑があるのか、それを止めようとはしなかぅた。


「それは出来ない話じゃ。それでも、お前の意見を通したければ、わしと勝負しろ」

「ははは、勝負ですか。神経衰弱でもやるというのですか、姫様」

「何を軟弱なことを言っておる。勝負と言えば、剣に決まっておろうが」


そのことが聞こえた王妃は、


「や、やめ」


辞めなさいと言おうとした、王妃を王が止めた。

王は、王子たちからソフィアの剣の腕前を聞いていた。

そして、王自らが勝負の掛け声をかけたのじゃ。


「これは、余興じゃ。相手を殺したりはしてはならぬ。いいな、それでははじめ!」


バカ息子は、普通の剣を、ソフィアはレイピアを選んだ。

バカ息子は、負けるはずがないと、思っていたのだろう。

こんな小さな小娘ごときに。

だが、勝負はあっけなくついた。


「負けました~許してください」

「ちっ、もっと穴をつけてやるつもりじゃったのに」


バカ息子は、急所を突かれはしなかったものの、それ以外をめった刺しにされて血まみれだった。

執事長はこれを見て思った。

さすが姫様。

王女ではなく、王子だと思えば頼りになるおひとだ。

まだ、小さな子供だというのに。



執事長は、ソフィアのことを女の子ではなく、男として見ていたのだった。



小さな女の子がこれだけ強いという事は、他の王室の人間はどれだけ強いのかと、その場に居合わせた人間は、そう思ったでしょう。

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