第三話 天使のアフターサービス
元極道のソフィア姫は、天使に文句を言ってやりたいようです。
みんな元気で、やっちょるか。
わしは、元極道のソフィア姫。
阿保の天使のせいで、こんな体になってしまったのじゃ。
うんちや、しょんべんは漏らしてしまうし、散々な目にあっておる。
まあ、赤子だからしょうがないと言えば、しょうがないのじゃが。
この間寝ていると、夢にあのアホの天使が現れおった。
わしは、文句を言ってやった。
「おい、お前なんでわしをこんな姿にしたのじゃ」
「様子を見に来たら、いきなり何言ってんの。おじいちゃんが、可愛い女の子がいいって言ったじゃん」
たしかに、言ってしもうた。
しかしじゃ、それを真に受ける馬鹿じゃとは、思わなんだわしが悪いのか?
いや、そんなことはないはずじゃ。
「おい、今すぐ生まれ変わる先をやり直せ」
「それはできないよ。もう受け入れたほうがいいよ。おじいちゃん」
「なんだと」
馬鹿天使が言うには、わしの意識と記憶はだんだんとなくなっていくというのじゃ。
そして、そんなことばかり考えていると、不幸になるというのじゃ。
なんたる理不尽。
「まあ、そんなに落ち込まないでよ、おじいちゃん」
「ああ、そうじゃな。さすがに不幸は嫌じゃからな」
「そうそう、もっと前向きに考えようよ。初仕事のおじいちゃんには、幸せになってほしいしね」
この馬鹿天使は、他人事だと思って無責任なことを、堂々と言っているのじゃ。
今すぐにでも、げんこつを喰らわせてやりたいが、夢の中でも赤ん坊の姿で、手足が思うように動かせん。
「無責任なことをって、思ってるでしょ」
「あたりまえじゃ」
「ちっちっちっ、それが、ある程度なら未来が分かっちゃうんだな~これが」
この馬鹿天使は、信じられぬことに、未来が分かるというのじゃ。
だったら、こんな体にするなという言葉を、わしは飲み込んだのじゃ。
「それは、本当じゃろうな」
「今更嘘をついても、仕方がないでしょ。わたしの、早とちりでこうなったんだから、アフターサービスしてあげる」
わしは、こやつのアフターサービスとやらが、少し不安じゃった。
しかし、無いよりはましじゃろうと、こやつに聞いてみた。
「アフターサービスとは、どんなことをするのじゃ」
馬鹿天使の話によると、例えば道に迷ったときには、右の道を行けと教えてくれるらしい。
信じるかどうかは、わし次第ということじゃが。
「幸せになれる道を、私が教えてあげるんだから、間違いなし」
不安じゃ・・・
「何その顔。何か文句でもあるわけ」
「いや、なんでもないぞ。気にするな」
「あっ」
「どうしたのじゃ」
「もうすぐおじいちゃん目が覚めるみたい。それじゃ、おじいちゃんまた来るね~」
「おう、待っとるからな~」
それからわしは、一時間ほど、ねむっていたのじゃ。
やっぱり不安じゃ。
元極道のソフィア姫は、不安で満ち溢れているのかなぁ。