表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺と吸血姫と異界の夜  作者: 眞島聡
5/162

ローラ4

 キイチロの顔色は真っ白だった。倒れたまま、ピクリとも動かなくなって、あたしはぶるぶる震えながら心臓に耳を当ててみる。と辛うじて心臓は動いていた。 あたしは慌てて回復魔法を掛けて・・・キイチロの顔色がちょっと赤くなる!


「う・・・・うぐ・・・」あたしはキイチロの胸の上に頭を乗せ、(お願い・・お願い・・)と祈る様にしていると、どうやらキイチロは気が付いた様だ。


「だ、大丈夫?・・・どっか痛い?なんか欲しいものある?起きられる?ねぇ大丈夫?ねぇってば?」


「う、うるせい・・・誰のせいでこんな・・・・ぐふっ。」


 よ、良かったぁ。


 §§§


 やれやれ、どうやら命拾いをしたようだ。

 俺は貧血でふらふらに成りながら、ローラを見るとなんだか涙目になって俺の顔を覗き込んでいた。またこいつに殺されそうになってしまった。思わず、

「お、お前、俺を殺そうとしたのか?」

 と言ってしまうと、

「!・・そんな事、しないよ!バカ!」

 何故か怒鳴ったローラは、そのまま俯いて肩をふるふると震わせていた。(うわ!怒らせちゃったかな?)と思ってたのに、

「・・・ご、ごべんなざいぃぃ!・・・」


 今度はいきなり泣きながら謝ってきた。・・・なんだ?こいつは?


 前の世界で生粋のボッチだった俺にとって、吸血鬼だろうが若い女の子と話をする、ましてや泣かれてしまうなんて事は、天地がひっくり返っても有り得ない事だ。 ましてや、泣いた女の子をどうすれば泣き止ませるかなんて事は、到底解る訳なかった。


 ・・俺は絶対悪く無い。悪く無い自信があるが、目の前でボロボロ涙を流して謝るローラを見ていると、悔しい事に罪悪感が心に生まれてしまった。 (・・・いや!俺は絶対悪く無い!)


 

「うわーん!ごめんなさいィ~!!」 



「あ、あの、・・・も、もう良いから、謝らなくて良いから・・ほら、俺は元気だから・・・」


 せっかく誓った決意もグズグズにされて、俺はローラの肩に手を置き背中を擦る。ローラはそれでもグスグスと暫く泣いていたが、しばらくすると背中を擦られて少し落ち着いたのか、泣き止んで顔を上げた。


「・・・お、怒ってる?」


「・・い、いや、怒ってないから・・・・」


「本当に?」


「ほ、ホント、ホント。」


 なんだ?この、セリフだけ聞くとリア充みたいなやり取りは?

 俺、こいつにもう二回も殺され掛けているのに・・・・・

 

「ほら、ローラ。魔力少し戻ったんだろ?約束通り俺の食べ物を魔法で出してくれよ。」


「・・・・・・肉で良い?」


「ああ、良いよ。何でも良いから早くしてくれ。」


 くっそー。敗北感がハンパネー。罪悪感の上に敗北感て、完全に俺、悪者ジャネーカ・・・。 


 §§§


 ・・・俺の前に肉がある。多分ローラは気を使ったのだろう。皮は剥いである。どういう魔法なのかは解らないが、ローラが呪文を唱えるといきなり目の前に現れた。全長約2メートル、重さ約500キロ、

生皮を剥がされた・・・牛の様だ。


「・・・肉だな。」


「そうよ、食べやすい様に皮は取っておいたわ。因みにランクはA4よ。流石にA5ランクは難しかったわ。」


 なんか、血まみれで良く解らないが、脂の入り方が良いそうだ。

 ウワー、むき出しの目玉がこっち見てる気がするぞ。 

 ローラの残念さを考えれば想定しなくちゃいけなかったよなぁ。

 口の所から出てるピンクのアレは、タンて奴だよな。デロってなってるけど・・・

 ・・・貧血でふらふらしている身体に、これはキッツイと思うぞ。

 胃がせり上がってくるのを両手で口を抑え飲み込むと、牛さんから背を向けて少し離れる。


「ローラ、悪いが水をくれないか?」 口の中が酸っぱくなった俺は

、少しでも気持ち悪さを解消しようとローラに頼むと


「み?水?はい!やります!いくらでも飲んで!」

 急に顔を真っ赤にしながら腕の鎖を外してくれとこちらに見せる。

 なんか息を荒くしているローラの両手の鎖を外して指先の前にしゃがみ、口を開けると「ヒッ、フヒッ」とローラの声がした。


 とたんに、滝の様な水が俺の顔をめがけて流れてきた!

「ブッ?!ゴバッ!!オ!?ゴ、ゴボッ!!」 俺はローラに水責めを受けた。


 全身びしょびしょになった俺は、何とか溺死を免れた。 ゴホッゴホッと噎せるとローラはアワアワしながら泣きそうになって謝って来る。 オイマテ、又さっきのやるつもりかよ。

「ゴホッ、わ、解っている、悪気の無いの解っているから。」

 だから泣くんじゃねー! ・・・それにしてもこいつ、やはり俺を殺そうとしているのか?そんな事を考えながらローラの頭を撫でていた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ