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俺と吸血姫と異界の夜  作者: 眞島聡
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ローラ 2

 悔しい!!明らかに魔力なんか無かった筈なんだけど、あたしの魔法はこいつに当たらなかった! なんか目の前でいきなり消えちゃってるし・・・せっかく鎖ほどいて動ける様になったのに魔力使い過ぎで捕まっちゃうし・・・・なんでぇ!!・・・・・・・・と、とにかく魔力が戻ればこんな奴と一緒に居なくて良いんだから、上手い事騙してここから脱出しなくちゃ!

 


 ローラという吸血鬼(?)が言うには、ここは世界最大の迷宮で、しかも今居るのは人間が入る事の出来て居ない程、迷宮の奥らしい。なんでもローラは同じ吸血鬼達に捕まって此処に放りっぱなしにされたらしい。何をやったんだ?こいつ・・・・


この迷宮はある一定の時間でランダムに変化するそうで、マッピングとかは意味が無い様だ。ただし、入り口と最奥の部屋だけは変わらないので、脱出するならどちらかに行くと良いそうだ。

 一応聞いてみたがローラは最奥には行けて無いそうで、今居る場所からどの位掛かるか分からないんだと。


「なぁローラ、あんたどのくらい此処に居るんだ?」

 素朴な疑問をぶつけてみた。


「んー・・・多分だけど、30年位だと思うわ。それが?」

「・・・その間、何も飲まず食わずか?」

「・・あぁ、そうね、そう言う事ね。」

「どうなんだ?」

「そりゃあ、食べるわよ。いくら私達でも何も無しに生きられないもの。」

「でもさっきの様子だと・・・・」

「まあね、あたしもまさか、あんなにほったらかしにされるとは思って無かったけど、そんな時の為にちゃんと用意してあったのよ。」


そう言って見せるのは中身の無い革袋が3つ。なんでも、魔法の空間に入れておいたそうで、出かける時の必需品だそうだ。いやいや、

こいつ一体何をしていたんだ?まさかしょっちゅう捕まったりしてんのか?

 俺の中でどんどん残念な子になっていくローラは、まだ動けそうもない様子で、女の子座りしながらドヤ顔をしていた。


「・・・ローラ、まだその袋は有るのか?」


「う・・・これで終わりよ。」


「じゃあ、どうするんだ?」


「・・・・」


「放っておいても回復するのか?」


「・・・・」


「その為に俺を呼んだのか?」


「・・・・」


「お前に血を吸われると俺はどうなるんだ?」


「・・・・」


「お前、食料替わりに俺を呼んだのか?」


「・・・だって、だって、此処にほったらかしにされて、誰も来ないし、鎖は取れないし、動けないし。・・・最初は、待ってれば許してくれると思ってたのに、ずっとずっと待ってて、誰か来るの待ってて、でも誰も来なくて。あたしだって反省したもん、お姉様が来たらごめんなさいって言おうと思ってたのに・・・」


 ローラは俯いて涙声で訴えてきた。・・・俺に言われてもなぁ。


「ローラ、お前の魔力って何もしなくても回復するものなのか?」

「そりゃあ時間をかければ・・・・」

「どの位?」

「・・・たぶん一年・・「ふざけんな!」」

「な、なによぉ・・」

「・・・俺の食べ物は?」

「有るわけ無いじゃない」


・・・やっぱり、と言うか、ローラって本格的に残念な子なんだな・・・

さっきは食料のはずの俺を殺すだけでなく消滅しようとするし、あんまり頭使わないんだろうな。


「なに?なんか悪口考えたでしょう。」 


 おお!考えないだけあって勘がスルドイ!

「お前、水は作れるのか?」

 とにかく水の確保が、サバイバルでは重要だと昔読んだ本に書いてあったからな。このままだと脱出する前に餓死しちまう。


「誰にモノを言うかな?さっきあれだけの魔法を見て、『お前、水作れるか?』 ・・・うわー、これだからニンゲンは・・」


「余計なことは良いから、水、出してくれよ。あ、ちゃんと飲める水だぞ。」


「なんであんたに飲み水をあげなきゃいけないのよ。」


「・・・・ちょっと待ってろ。」


 俺はローラを縛っていた鎖を持って来るとローラの両手を後ろ手に縛り、暴れるローラの足首を鎖で縛る。


「いいか?良く見ておけよ?」

 そう言うと、壁の岩に右手をついて目を閉じる。じっと念じていると手の先の岩の感覚がフッと消える。


「ナニソレ~~~??!!」


 俺の手の先にあったはずの岩の壁は直径2メートル、深さも同じ程の何も無い空間になっている。


「いいか?これと同じ事をお前で試してみるか?」


 俺はローラの胸に右手を近付ける。ゆっくりと寄って行くとプルプルと震えながらローラは縛られたまま後ろに下がって行く。


「わ、わ、わかった、わかったから、止め、止めてぇ!」


 俺はどうやら飲み水の確保が出来たらしい。

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