表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
放課後の図書館  作者: 松田
5/14

彼との再開

なんだろう。服が、いや、全身が全身が濡れてる。

それになんだか……酸っぱい臭がする。

私は今、アリに襲われそうになっていたはず。一体何があったんだろう。

閉じていた目を開いてみると、そこにアリの姿はなく、そして辺りの草は血の雨でも振ったかのように真っ赤に染まっていた。

「一体これは……どういうことなの?」

震えは収まっている。

何とか立ち上がって2、3歩歩いて周りを見てみても全くわからない。

「なんで草が赤いの……?それに……あのアリ……」

「その赤いのはアセロラジュースだよ、君が買ったね」

不意に後ろから声がするものだから驚いて振り返るとそこにはさっきの彼がいた。

「え?どういうことなの?」

「だから、君を助けるために僕がテーブルからこぼしたのさ」

「え……?テーブルって……」

「あれだよ」彼が言って指さした先にあったのは、確かにテーブルと椅子とペットボトル。

「え、でも、だって明らかに……」

そう、指の差された先には確かに同じ物があったが明らかにおかしい点もあった。

「まあ、僕ら今ミニチュアサイズになってるし、変な感じがしてもおかしくないよ」

「じゃあ、つまり……私は小さくなってるってこと!?」

「そう言う事」

それを聞くとなんだかいろいろ納得のいく部分もある。庭に置いてあるのはデッキチェアのタイプの椅子だから、隙間から落ちたんだろう。いや、そこから落ちたら普通痛みで起きるはず。骨なんて簡単に折れそうな高さだし。じゃあどうやって下に……

「ねえ」

「はいっ!?」急に話しかけられたからびっくりした。

彼は吹き出して、それから「小さくなったのは初めて?」と、笑いながら聞いてきた。

「初めて」笑われたことに苛立って少し素っ気なく答えてしまった。

「そーなんだ、それじゃあ僕が君を人間に戻す手助けをしよう」

そう言って彼は手を差し伸べてくれた。しかし私は「ありがとう」というのが精一杯で、とても彼の手を掴むことはできなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ