スカーレットさんは明日も平常運転
高高度衛星魔術により街の詳細地図及び住民の生態情報をデータベース化。
未知の言語を会話や単語、動作を用いて自動翻訳する魔術により進行度78%。
街がすでに見えるところまで来たところでリリーさん5歳とスカーレットはのんびり日向ぼっこに興じていた。
現在の翻訳状況ではまだ片言に毛が生えた状態なのでちょっと危うい。
何事も慎重に情報を収集すべきと教わっているリリーさん5歳にとって78%は信頼できる確度ではない。
さらには住民の生態状態から特徴をいくつか見出し、その生活水準及び文化などを導き出していくと困ったことが1つ判明。
どうやらオーリオールでの人間とされる一般的な知的生命体と酷似した見た目ながらも文化は数段落ちる模様。
さらには身体及び精神を拘束する系統の魔道具――隷属の首輪に似た物を用い、労働を強制している状況が各所で見受けられる。
未だ自動翻訳が完璧でないために確実とはいえないまでも状況的にはほぼ確定。
未だ奴隷文化が残る生活水準の低い街。
それがリリーさん5歳が出した結論だった。
ちなみにリリーさん5歳が住むオーベント王国では奴隷文化など廃止されてかなりの年月がたっている。
すでに奴隷などという存在自体が古い考えでしかない。
奴隷文化などが残っている場所で下手な行動は取れない。
リリーさん5歳が相変わらず変化しない表情筋の裏で高速で多数のことを思案していると、現在の情報をまとめたクティパッドを手にしていたスカーレットさんが言葉を発する。
「奴隷……きましたねこれは」




