スカーレットさんは今日も平常運転
次元間移動魔術の実験中ふとした拍子に魔術が暴発し、レキ君ルームから見知らぬ大草原に飛ばされてしまったリリアンヌ・ラ・クリストフ5歳。
とりあえず、状況を判断するために高高度衛星魔術を即興で作って打ち上げ。
そこで自分がどれだけてんぱってたのかを理解する。
なぜならすぐ横にスカーレットがいたからだ!
最近仲間になったスカーレットさんはここでも平常運転。
失敗っぽいことを正直に話すリリーさん5歳。
でも平常運転のスカーレットさんは特に問題なさそう。なぜなら彼女はそういう人だから。
とりあえず情報を収集して自分達がどこに来てしまったのかを調べ始める。
高高度衛星魔術によりとりあえず2分で半径50kmの詳細地図と生命反応及び魔力反応の分布図及びデータベースから一致または類似する物体を探り出す。
結果として6割方類似する程度の生命体反応を検知。
この程度では長距離転移したのか、別次元の世界に来てしまったのかまだわからない。
仕方ないので北東20kmの位置にある街っぽいところまでいってみることに。
しかしリリーさん5歳は魔術はちょーすげーけど戦闘経験皆無。
大草原に来た瞬間には出来る限りの防御系魔術を即時展開していたがそれとこれとはまた別の話。
なのでここで頼もしいスカーレットさんを頼ることに。
でも細剣持てばお屋敷最強のスカーレットさんでも日常的にそんなもの持っているわけではなかった。
ペンと羊皮紙は持ってるけど。
代用品として適当にその辺の木をぶったぎって魔術で超精密加工を施し、リリーさん5歳の魔力を圧縮した精霊力を更に圧縮したコーティングを施しておくことに。
ここに最強の木細剣が誕生したがそれはまた別の話。
補助系統の魔術を即興でいくつも作り、重ねがけした上に重力操作で切り倒した木を浮かして乗り物を作成。
20kmなんてあっという間。
途中で何体か6割方データベースと一致する生命体――見た目がどうみても魔物――を轢き殺して街へ近づいていく。
高高度衛星魔術により街の情報を収集、整理し言語が未知であることが判明しているので即興で翻訳魔術を構築中。
元の世界――オーリオールでも処変われば言語も変わるのでこれだけではまだ別次元の世界である確たる証拠とはなりえない。
街に着く前に構築が終わらないっぽいので少しスピードを抑えて更に周辺地理を詳細にデータベース化し、どんどん情報を蓄積していくリリーさん5歳。
そんな見た目は、無表情でボーっと異様に凝った細工を施された木の乗り物に座っているだけのリリーさん5歳とは裏腹にスカーレットさんは今日も平常運転。
「イベントですね」




