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《章間 ~飢餓の末~》

 『それ』が『アレ』に気付いたのは、偶々だった。

 自分の姿に似せて作った奴らを眺めるのも飽きたので、そろそろ『あれ』を探すべく羽根を生やしたのだ。

 『それ』は、今まで『食った』奴の記憶からいろいろな事を思い出していた。

 自分が本来『魔族』と呼ばれる物であることを。

 そして『自分に何が出来るのか』を。

 探し物をするには、上からが一番だ。

 背中に羽根を生やして上から見るのが、最も爽快で確実な方法だと『それ』は思い出していた。

 そして、ようやく手に入れた自由を楽しみながら、辺りをふらりと回っていると、偶々見つけてしまった。

 精霊の世界を棄てた風の精霊を。

 『アレ』は魔力に乏しいこの世界においては、相当魔力の詰まった『美味い』ものだ。

 空中散歩に出たのは正解だった。

 そうでなければこのような御馳走は見つからなかったに違いない。

 叫びだしたいほどの喜びを押し殺して、『アレ』の背後に忍び寄り、涎が垂れそうなのを堪えながら腕を振るって、『アレ』に掴みかかる。

「えっ?」

 獲物は、こちらが腕を振るうその瞬間、ようやく気付いて振り向いた。


 ――――だが、もう遅い。


 振り返った動きで多少位置が変わったのか、それとも『それ』が長らくに渡る『封印』の影響で技量が衰えていたのかは解らないが、『アレ』は『それ』の腕に弾かれ、叩き落された。


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