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《章間 ~飽食と飢餓~》
十人『食った』時点で、飽きた。
飽きたので、次の十人はじっくりと嬲り、舐り、染め上げ、こね回してみた。
それにも飽きたので、次の十人はこね回した奴らと同士討ちさせてみた。
或る程度空腹は満たされたが、まだ足りない。
長きに渡って自分をあのような場所に閉じ込めたヤツを。
軽重に、ぞんざいに蔑んだヤツを。
殺さずにはおれない。
空腹を満たした事で、『それ』は求め始める。
そうだ、あの『手』に復讐を。
奴の嘆きを嘲笑いながら蹂躙し、奴の存在を否定しながら押さえ込み、奴の請願を蔑みながら押し込み、奴の慟哭を聞きながら封じ込める。
さぁ、そろそろ『あれ』を食おう。
『あれ』はなんだ。
『あれ』はどこだ。
『それ』は自らの欲する物を探すために、彷徨い始めた。
それが、『それ』が初めて、自らの行動に目的を設定した瞬間だった。
あの『手』に永遠の苦しみを。
そして、あの『手』からの解放を。




