空間からの解放
オレは恐る恐る部長に聞いてみた。
『部長・・・この部活って、他に部員いないんですか?』
『今年できたばっかだからね・・・これから勧誘していくつもりだけど・・・ごめんね。』
部長が謝ることではないと思うがw
『あ、いえ。』
しかし・・・3人だけだと気まずいものだ。
なにせ、3人で本を読んでるだけだから、会話の1言も聞こえない。
というより、『喋ってはいけない空間』ができているようだ。
・・・それから数10分経った。
㌧㌧
突然、ドアを叩く音がした。
部長が出た。
『あの、滝鮫くんってここにいるかな?』
来たのは、オレの担任の宮根だった。
『宮根先生、どうしたんですか?』
『いえ、滝鮫くんに伝えたいことがあって・・・』
オレに伝えたいこと?面倒臭いこと以外なら良いのだが。
『滝鮫くん、貴方、全ての部活から勧誘が来てるわよ・・・』
おいおい、マジかよ。
『あ、いえ、オレもうここに入ったんで・・・全部お断りします。』
『そう、それならいいわ。』
宮根がドアを出ようとした時、『そうそう。』
『瀬橋くんからの伝言だけど、「終わったら家来ない?」だって。仲良いわね^^』
そう言って、宮根は戻って行った。
『滝鮫くん、すごいねー。全部活から勧誘なんて。』
冬香先輩が誉めてくれた。うれしいことでもないのだが・・・。
『あ、そういえば友達に呼ばれてるんでしょ?行ってきなよ。先に帰ってもいいからさ。』
部長に促されて、オレはドアを開け、瀬橋の家へ向かった。
第6話 終