無機質なる空間
授業が終わり、瀬橋と別れたオレは、部室へ向かった。
この学校は、初日から部活があるのか・・・
そんな事を思いながら歩いていると、コンクリートで作られた2階建ての建物に着いた。
この学園もつくられたばかりなので、この建物もなかなか綺麗だ。
1階の文芸部部室を覗いてみると、冬香先輩と部長らしき人が座っていた。
『あ、滝鮫くん。授業終わったところ?』
『あ、はい。どうも・・・』
『部長、新入部員の滝鮫くんです。』
『あ、滝鮫くんって言うの?私は部長の貴蛇梢。よろしくね。』
『あ、はい。宜しくお願いします。』
・・・それから数十分経った。
がらりとした空間の中に、本棚が4つほど並んでいる。
オレは黙って、とある某有名ラノベを読んでいた。
「無機質な空間の中には、静かなる人間が黙って座っていた―――」
突然、冬香先輩が話し出した。
『滝鮫くん、この1節いいと思わない?ww』
・・・なんだ、小説のセリフか。
オレは軽く会釈すると、またラノベを読み始めた。
それにしても、さっきのセリフ、この部室のことを言ってるみたいだったな。
世の中にそんな洒落たセリフを、この部屋に例える人間がいるとは思わなかったw
やれやれ、まるで言葉遊びのようだ・・・
・・・・!?
遊びで思い出したが・・・この部活・・・
他に部員いないのか!?
第5話 終