初授業
『あ、滝鮫くん、もう授業始まっちゃうよ?』
冬香先輩に促されて、オレは教室に向かった。
授業なんてオレには必要ないのだが、そこは受けておかないとオレの立場に影響を及ぼす。
オレの教室は1-Bらしい。まあ、今年も友達はできないだろう。
オレは席に着いた。
ドアが開いて、教師が入ってきた。
『1年間担任を受け持つ、宮根秋絵です。よろしく。』
簡潔に自己紹介を済ませたその教師は、30代半ばといったところか。
まあ、お世辞にも若いとは言えない。
『えーと、じゃあ、自己紹介から始めてもらおうかな。』
『じゃあ・・・滝鮫くんからお願いします。』
『あ、はい。オレは、西中出身の滝鮫継刃です。趣味はPCです。宜しくお願いします。』
とりあえず、気を使ったつもりだが、趣味はいらなかったか。
あとで後悔してしまうのも、俺の悪い癖だ。
スムーズに自己紹介は終わり、最後の1人になった。
このクラスは、特に凄い美少女もいなかったなー・・・などと考えていると、最後の1人が自己紹介を始めた。
『オレは、南中出身の瀬橋博信です。趣味は・・・えーと、萌えアニメと恋愛系ゲームです!よろしく☆』
『何あいつww』
『趣味が萌えアニとかww』
・・・オレとは違う分野のヲタのようだな。ちなみにオレはロボアニ派だ。
・・・教師は見て見ぬフリをしている。こういう生徒を持つと大変だよなw
授業が終わった後、瀬橋が声をかけてきた。
『ねぇねぇ、キミってあの入試1位の滝鮫くん?』
『そうだけど、それがどうかした?』
『いやぁ、すごいなーって思ってね。もしよかったらよろしく。』
瀬橋が手を握ってきた。オレも握り返した。
人生初ともいえる友達ができた。
友達ってこんな感じなのか。
・・・悪くないな。
第4話 終