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素顔の話
私達が悲鳴をあげたときの対策だったんだろうなと気づいたのはもう一回意識がぶっとんで病室で白い天井を眺めながらだった。
死出くんは入院。首の傷がどうもやばいらしい。
噛まれたしね……。
私のほうは別に退院してもどっちでもいいと言われたのでとりあえず死出くんの病室を尋ねた。
「ごめんね。こんなことになっちゃって」
「そーだ。お前のせいだ。土下座しろ。生まれてきてすいませんって言いながらこの場で脱糞しろ。んでそれ食え。俺はそれ横目にご機嫌な昼ドラ見るから」
ごめん、キモい。
「あんたさ、もしかしてそっちが素?」
「うん。学校って猫被らないといけない場所なんだろ」
なんか意外そうでそうでもない一面を見た。
「俺が勝手にやったことだから謝られる筋合いはねーよ」
「あんた、なんでそこまで愛川の名前にこだわるの?」
「親がそれだけを誇りにしてるような人間だったからな。大間抜けでクソだったけど価値感ぐらいは継いでやりたいんだわ」




