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魅いられる  作者: 月島 真昼
二章 愛川既死期の殺人学校
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時間の話 肉塊の話

 ちゃんとオチはつけるらしいから投げずに最後まで読んどいて欲しいんだって。作者が言ってた。それまでがだるくて読む気なくすって残念すぎだよね。


 ……意識が飛んでた、と思う。致命的な隙を晒していたはずの死出くんが二歩後退して安全圏にいる。

 右手付近に生ぬるい感覚。刺されたのか。「あれ」は壁に寄りかかってなんだかぶつぶつと何かを呟いていた。耳を澄ますと殺す殺す殺すと呪詛っぽく聞こえてくる。なんか怒らせたらしい。

 化け物然とした動作で壁から身を起こして私のほうを向く。

「 “捕食者”が殺し技第一位、『蜂の巣』 」

 まるで最初からそうするつもりだったように私は上着を脱いでいた。ナイフの殺到に向かって下のほうに振るい引きづり下ろす。床に散らばる。 

 廢縞十鬼が床を蹴る。全力で蹴ったように見えたのになぜか妙に遅かった。初手は左手のナイフ。半歩下がってかわす。逆向きに体を捻った蹴りがほとんど同時に飛んできた。受けるか一瞬考えたが跳んだ。私の下を長い足が滑る。隙だらけの喉元に刃を差し込もうとする。死角にあったフリーの右手の奥が光る。止めるしかない。「ッ……」下向きに鉛筆を叩きつけた。ナイフが手から落ちる。左手が返ってくるまでにはまだ時間がありそうだ。改めてナイフを振るう。ガキ。歯で止められた。おいおい、どこまで化け物なんだ? そのまま首の力だけでナイフを捥ぎ取られる。

「 “捕食者”が殺し技第二位、『早贄』 」

 爪を相手に向けるように「捕食者」はまっすぐ腕を突き出した。私は首を傾ける。頬肉がえぐれる感覚が非常に気持ち悪い。左半身が剥き出しなのに得物がなく空中なので何もできないのがひどくもどかしかった。ザクリ、あ、そうだ。死出くん居たんだったっけ。完全に隙をついていたのに腕に刺さる。着地した私は死出くんが噛まれているのを見た。首筋の肉がごっそり持っていかれていた。

「 “捕食者”が殺し技第三位、『咬切』 」

 肉を咀嚼しながら言う。 


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