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全滅の話
「いつまでそうしてんだ、お前」
三角座りでいじける私に死出くんが言う。
「あぁ、うん、いけばいいんでしょ、逝けば」
やけくそだ。私と死出くんしかいなくなった教室を出て早足で歩く。
鬼だろうが死神だろうがなんでもかかってきやがれ。
「やあ」
ほんとに居た。人間の「捕食者」を名乗る大言壮語な変態。異常に整った顔立ちに似合わない白髪交じりの髪。妙に長い手足。どこか歪な表情。おっさんですら逃げ回るしかない相手。殊更切味ですら破ってみせた誕生を殺す寸前まで追い詰めた殺人鬼。
「今日は訊きたいことがあってきたんだけど、大人しく答えてくれるとすごく嬉しい。ボクってさぁ、少し前に機時惨告を全滅させたことになってるんだよ。だけど実は一人だけ取り逃がしてる。君はその一人の行方を知らないかい? 一時君たちが一緒に暮らしていたのは組織の優秀なクラッカーが突き止めてくれたんだけどさ、そこから先の足取りがまったく掴めないんだよねぇ」




