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司率の話
一週間程が経過したある日、担任の先生が男の子を連れてきた。私は卒倒しそうになった。見覚えがある。というか忘れようがない。
「転校生を紹介する」
「愛川司率です。どうぞよろしくお願いします」
ガーゼの貼り付けている頬を緩め感じのいい笑みで挨拶をしたのはどこからどう見ても私の腕をぶっ刺してくれたいつかの殺し屋くんだった。名前は愛川死出と言ったはずだ。
パチパチパチ、という拍手が遠い場所で行われてる気がする。というか遠いとこでやってて欲しかった。何しにきたんだ。
「席は、愛川の隣が空いてるな。って転校生のほうも愛川だったか」
死出くんが歩いてきて座る。成木くんがいち早く気づいて死出くんを押し殺しながら殺し屋の目で見ている。
「名字が同じなんてすごい偶然だね。よろしく愛川さん」
「よろ、しく」
自分の頬が思いっきり引き吊っているのがわかった。
私の平凡で退屈で最上だった高校生活は一体どこに行ったんだろう。




