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予防の話
カズくんはジッと宙を睨んでいた。
「だけどカズくんはその子を助けたいんだよね」
「間違って、ますか」
幼い質問だった。真っ直ぐで折れることを知らない。私はそれをとても大事にして欲しいと思う。
「全然、間違ってないよ。だけどほんとに助けたいと思うならすごく冷静にならないとダメなんだ」
黙って宙から私の顔に視線を向ける。
「いじめなんてするやつは相手は誰だっていいの。あいつよりも俺は優れてるんだ、って思いたいだけだから。その矛先がカズくんに向かうことになったら私やユウくんやユキちゃんはすごく悲しむ」
ユウくんやユキちゃんが小さく頷く。
「どうすれば、いいですか」
「予防線を張ること。例えばカズくんがやったってわからない方法で先生にいじめがあることを伝える、とかね」
「予防線……」
「それともう一つ。間違っても助けてあげてる、なんて思っちゃいけないよ。それは凄く相手の心を傷つけるから」
少なくとも私の場合はそうだった。




