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保険の話
「誕生もめんどくさいもの残してくれたなぁ……」
殺し屋になる気が更々ない私にはそんな名前は重たいだけだ。
傷が回復したらきっと彼はまた襲ってくるだろう。
そうなった時のことを考えると少し憂鬱だった。
逃げ足ぐらいは鍛えておいたほうがいいかもしれない。
「安心しろ。既死期が死んだらちゃんと仇はとってやるから!」
元気一杯に言いやがったけどさぁ、切味ちゃん。それ、かなり安心できないよ。
「まあまずは病院ね。切味、あんたは怪我してない!」
「してない」
あれ、この子、右島派閥とか言う殺し屋集団と戦ってたんだよね……?
笠原さんがハンドルを切ってカーブを曲がる。
ああ、病院は少し苦手だ。あの清潔すぎる感じが妙に肌に合わない。
まあ仕方ないと割り切るしかない。
腕の傷を縫われて包帯をぐるぐる巻きにされ、お金を払ってその日は帰った。
うーん、入っててよかったなぁ、医療保険。もし戸籍がなかったら凄まじい額を取られてただろうから……




