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名前の話
「腕は大丈夫……、そうではないの。鮫口に見て貰ったほうがいいじゃろ。帰るぞ」
頷いて、私は男の子を見た。上体を中途半端に起こしているが切味ちゃんの威圧が凄まじすぎて動けないらしい。
「……あなた、なんで私を襲ってきたの?」
「俺の名前は愛川死出だ。それでわかるだろ」
口からナイフを引き抜いて聞き取り辛い声で彼は言った。
いや、わかんねーよ。
「既死期」
「……うん」
いろいろ納得できないままだったけど切味ちゃんに促されて私は歩き出す。地面に足がつくごとにズキズキと痛みが走ったが歩けないことはなかった。少し離れた場所で切味ちゃんが携帯電話で笠原さんを呼んでくれたのがすごくありがたかった。車の中で治療して貰う。
でも笠原さんブチギレ。
「こういうことにならないためにあんたを付けたんでしょうが!」
「ふ、不可抗力じゃ。あの辺を見張ってた右島派閥を五分で片をつけて駆けつけただけでも褒めて欲しいのじゃ!」
「知るかボケッ」




