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降参の話
視線はしっかり私を捉えていて逃げられないことを悟る。美少年だ。見つめられると少し照れる。のはおいといて。
いくら殺し屋になる訓練を積んでいたと言っても二年くらいサボっている。
本気の現役から逃げられるとは思えない。
ただ見たとこ、丸腰。しかも少年。
おっさんや廢縞十鬼ほど化け物してるわけじゃないだろう。
「降参。あんた何? 私になんの用? おっさんのことなら私は何も知らないし鮫口さんのことは死んでも話さないよ」
「おっさん? 鮫口? なんだそれ」
あの二人のことじゃない? じゃあ切味ちゃんのこと?
「奪われた名前を返して欲しいだけさ」
問答無用とばかりに地面から水平に跳ねて突進してくる。
「ちょ、待ってっ」
私は『鉛筆』を抜いて握り込む。男の子は私に向かって水平に手を振った。
その手にはいつの間にか赤いナイフが握られていた。
全然気づけなかった。一歩引いてかわそうとする。失敗。腕を盾に急所を守る。制服が赤く染まる。
いってぇ。




