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無事の話
何事もなく無事に帰れた。
玄関の扉を開けて安堵する、……暇すらをここのチビはくれなかった。
「ねーちゃんお帰りぃ!」
飛び付いてきたのは六年生の男の子で私と彼女を除けば最年長だ。後ろで扉が閉まる。逃げ場はなさそうだ。私は咄嗟に彼の頭を押さえて軽く足払いをかける。ドテンと倒れて「ねーちゃんは手厳しいなぁ」といいながら尻を擦る。
「私はセクハラには屈さない」
「ちぇっ」
睨みあう私と小学六年生。年上として何かが間違っている気がしなくもない。
「ユウ。こっち手伝って」
奥から笠原さんの声。私はカレーのいい匂いに気づく。
「今日のところは引き分けで済ませてやる!」
「はいはい、ありがとう」
ちょっと不服そうなゆうくんは台所へ駆けていく。
「母ちゃん! ねーちゃんが俺に暴力振るった」
「どーせあんたがいらないことしたんでしょーが」
「うぅ……。手厳しい……」
ユウくん、あんたかわいいんだけどさ。花の女子高生にセクハラは、ダメだよ。




