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視線の話
「んーと、考えとくよ」
美咲はにっこり笑って「とりあえずあたしから見た感じ、成木はいいやつだよ」と言った。
私から見ても少なくとも悪い人ではないと思う。
「お、もうこんなとこか。それじゃ」
分かれ道で美咲は軽く手を挙げた。
美咲は左に私は右だ。バイバイと手を振って歩きながらこっそり溜め息を吐く。
いまの美咲の話のせいじゃない。
……見られている。
今朝の登校途中も視線を感じた。
ヤバい。
視線の読み取り方はおっさんに習った。
さらりとしてるのに強く印象に残る視線。
これは堅気の人間じゃないって教わった。
加えてさっきから探してるんだが姿は見せない。
多分プロだ。何人か殺ってるかもしれない。
殺し屋?
それとも拷問屋?
いまさら私に何のようだろうか。
おっさんが失踪してから半年は経ってる。
私が行方なんか知ってるはずがないのに。くそぉ、あの疫病神め。
とりあえず帰ったら笠原さんに相談してみよう。
そもそも無事に帰れたらの話だけれど。




