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魅いられる  作者: 月島 真昼
二章 愛川既死期の殺人学校
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奔走の話

 おっさんいわく大抵の物はお金で用意できるそうだ。

 例えば出身中学。

 例えば受験票。

 例えば戸籍。

 私が十三くらいの時だと思う。

 おっさんは私に殺し屋になるかどうか尋ねた。

 そして私はそれを拒否した。理由は特にない。

 続けてきた鍛練が無駄になることもどうでもよかった。

 端的に言えば嫌だったのだ。ほんとになんとなくだけれど。

 おっさんは「そうか」と短く頷くと傍らのバッグからパンフレットを何枚か抜いた。

「表の世界で生きていくには一般的に学歴が必要だ。既死期、高校に通わないか」

 なんとなく「うん」と答えてしまったがおっさんは私を高校に通わせるためにあちこち奔走したっぽい。

 「愛川黄色」の戸籍を手に入れた時はなんとも言えない感じがした。大金をはたく価値があるものなのかとも少し思った。

 受験勉強はなかなか地獄だったし。そこでも意外にも勉強のできるおっさんに助けられたわけだが。

 ただようやく入った高校は眠いけど楽しい場所だった。



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