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教室の話
「災難だったねぇ、キイ」
「まあ迂闊にあくび漏らした私も悪いんだけどさ、あれはちょっと露骨すぎだよ……」
あのあと出題の度に私が指されて全然眠るどころではなかった。まあ問題自体はそんなに難しいものじゃなかったけれど。
とりあえず加川先生って絶対に性格悪い。
「小畑さん、ちょっと。例の件ー」
「あいよー。いま行く」
教室の隅から呼ばれて美咲が声を張り上げる。
「文化祭の?」
「だろうね。ちょっと行ってくるよ」
後ろ姿を目で追うと成木くんと視線がぶつかった。成木くんは下の名前を一花果と言う。
「愛川黄色」の私が言うのもなんだけど、変わってる。
優しい顔立ちはどこか記憶の中にある誕生と被った。
誕生はあんなイケメンじゃなかったけど。つーかなんでこっち見てたんだろ。
「あー……、ダメだ」
寝よ。
私は机の上で両腕を枕にうつ伏せになった。目を閉じる。
教室の音が耳に入らないように感覚を閉ざすと意識は直ぐに落ちていった。




